世界一初恋 短編

□梅雨
1ページ/1ページ

梅雨は好きじゃない。
雨は多いし、じめじめするし、蒸し暑いし、気分も上がらない・・・
良いことなんてあまりない。

ザバー!!
急に外から大きな雨の音が聞こえてくる。

「うわっ雨だ!」
「すごいですね、さっきまで晴れてたのに」
「梅雨だと天気変わりやすいからね〜帰る頃は止むといいな」
「ですね」

これも梅雨の嫌なところ。
晴れていたのに途中で雨が降ってくる。
洗濯物などを干してたら大惨事だ・・・。

(傘、持ってきたかな)

帰宅時刻

「雨、小降りになってきたね、よかった〜りっちゃん帰る?」
「あ、いえもう少しで終わるのでまだいます」
「そう?じゃあお疲れ〜」
「お疲れ様です」

木佐が帰宅し、そのあとも美濃、羽鳥と順に帰ってく。
高野は途中会議で抜けてまだ帰ってきていない。
しばらくして律も仕事が終わり帰宅準備を始める。

サー サー

「弱くなってきたな」

(強くならないうちに帰ろう)

玄関まで行き鞄から傘を出そうとすると鞄にはそれらしきものが見当たらない。
どうやら家に忘れたらしい。

(雨も小降りだし急いで帰れば大丈夫かな・・・)

そう思って外に1歩踏み出そうとしたときー

スッ

「傘もささずに何やってんだ、風邪引くぞ」
「っ・・・高野さん・・・」

会議だったはずの高野が隣に立ち律を傘にいれる。

「会議終わったんですか?」
「あぁ、ちょうどさっきな、ほら一緒に帰るぞ」
「・・・!・・・・はいっ」

サー サー
「にしても急に降ってきたな」
「ですね、梅雨ですから仕方ないですよ、俺は梅雨ってあまり好きじゃないです・・・」
「そうか?俺は案外好きだけど?」
「なんでですか?」
「だって」

ぎゅっ。

高野は急に律の手を取り握りしめた。

「なっ!///何するんですか!外ですよ!人に見られたらっ」
「雨で誰も見てないよ、ほら、これなら堂々とお前と手を繋いで歩けるだろ?」
「っ/////////は、恥ずかしい人ですね・・・」


(でも・・・案外雨も・・・いいかもしれない)

律は握られた手を強く握り返した。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ