世界一初恋 短編

□ずっと、大好き。
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「私ね、りっちゃんが好き、大好き」

目の前の綺麗な純白のウエディングドレスを着た幼馴染は泣きそうな顔でそう言った。

「ごめんね、ここまできて・・・こんなこと言って。
りっちゃん困るよね。迷惑だよね・・・・・・ごめんね」
「!・・そっ・・・・っ」

掠れた声で彼女は謝る。
俺は何も言えなかった。
そんなことないと言ってあげることができなかった。
彼女の気持ちを前から知っていて、それでもなお彼女の気持ちには応えられず、どれだけ彼女を傷つけただろう。
それでもそんな俺をまだ好きだと言ってくれる。
でも俺はその言葉に彼女の望む返事を返すことはできない。
今、結婚を目の前にしている彼女に俺が言えることなんてなにもない・・・

「・・・本当はこのドレスを着て、りっちゃんの横に立っていたかったな
でも私じゃ、りっちゃんをあの人みたいに笑顔にすることも、幸せにしてあげることもできないから・・・
私は・・・りっちゃんに幸せになってほしいの。りっちゃんの事大好きだから
だから・・・・だからっ・・・っ・・・ぅ」

杏は目からたくさんの涙を流しそれをドレスが吸い込んでいく。

私がりっちゃんの傍にいたかった。
隣にいたかった・・・。
私が一番りっちゃんの事知ってるし大好きだって気持ちも絶対に負けない。
でも、どうしても・・・叶わない(敵わない)んだ。
だってあの人の隣にいるときのりっちゃん幸せそうだから。
あんな顔、見た事なかったから。
私にはあんな顔、見せたことない。
あんなにあの人が好きだって顔されたら敵うわけない・・・。
私にはりっちゃんを幸せにできない・・・。

「杏ちゃん・・・」
「・・・っ!りっちゃんっ・・・!約束して、絶対幸せになるって。私も、りっちゃん達に負けないくらい幸せになるから!」

杏は涙を拭い力強く律に言った。

「・・・うん・・・、約束するよ杏ちゃん」

俺がそういうと杏は安心したようにニッコリと笑った。



ワアアアアアアアアア

「さて今から花嫁様よりブーケトスを行います!!」

司会者のその声で前の方に多くの女性陣がブーケを取ろうと集まりに行く。

「行くよーそれ!!!」

ブーケが高く飛んでいき、それを女性陣も追いかける、だがそれは狙いを定めたように律の真上に向かってきた。

ポスッ

高く投げられたブーケは律の手元にすっぽりと収まる。

「!!」
「りっちゃん!!次はりっちゃんだよ!!」
「・・・杏ちゃん・・・」

『りっちゃん!!』
『りっちゃん大好き!』
『がんばれっ!』

ごめんね、君を選んであげられなくて・・・。
ごめんね、たくさん傷つけて。泣かせて・・・
俺も杏ちゃんの事好きだよ。
だから、どうか幸せに・・・。

律 杏【どうか、大好きな人が笑っていられますように。幸せでいられますように】

『りっちゃん、ずっと大好き』

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