世界一初恋 短編

□ひとりごと
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作家さんの家からの帰り道、会社に向かって歩いていると前に上司で恋人である高野の姿が見えた。
話しかけようと小走りで近づき後ろから話しかける。

「高野さん、お疲れさまですっ」
「・・・・・・・・・・・」シーン

・・・・・何も反応がない。
いつもなら声をかければすぐに気づいてくれるのに。
だがよく見ると高野の両耳から紐のようなものが垂れているのが見えた。
珍しくイヤホンで何か聞いているようだ・・・。

「・・・・・・・・・高野さん・・・・」

高野には聞こえていないとわかってはいるが何となしに呼んでみる。

「高野さん」

「高野さん」

「高野さん」

1歩 1歩
足を進める度に名前を呼んでいく。
目の前にいるのに自分の声が届かないもどかしさ・・・。

(何やってるんだろ、俺・・・)
「・・・高野さん・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・政宗さん

くるっ

「なに?」

さっきまで何の反応もなかった高野が急にこちらを振り向き嬉しそうに笑っていた。

「え・・・っ!!聞こえてたんですか!」
「いや?気づいたのはついさっきだけど、律がなんかかわいいことしてたから聞いてようかなって」
「っ!!!ひどいですっ!聞こえてたなら早く!「なぁ、律 もう一回呼んで?」
「え?」
「さっき呼んでくれただろ?名前」
「っ!!///よ、呼んでませんっ」
「絶対呼んだ、なぁもう一回呼んで」
「呼んでないし、呼びません!!////」

律は顔を真っ赤にして高野を抜かして歩きだした。

「なぁ律ー」
「だから、呼びません!///
ほらっ早く帰りますよ!!」

二人のそんな会話は会社に着くまで続けられた。

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