ライチ☆光クラブ
□枯れた蝶
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そして病室に入り私をじっと見て何か悪巧みを思いついたように笑い、
「こんなところに女の子がいるなんてね。君、誰?なんて言うの?」
自分に話しかける人なんていなかったから戸惑ってしまった。
「私は...りと。」
かなりおどおどした感じになったが彼はそんなこと興味なさそうに、
「ふーん。じゃあ僕の事ジャイボって呼んで!」
こんな会話ドラマとかでしかみたことなかったからすごく嬉しかった。
そしてそれから彼はちょくちょく病室に来て一緒に遊んだ。
私も初めて人に少しずつ心を開いていくようになった。
そんな楽しい日も束の間、とうとう退院の日がやってきた。
それでも私は退院してからも彼に会いに行った。
彼は会う度私にいろんな話をしてくれた。ゼラのこと、秘密基地のこと、そしてジャイボ自身のこと。
彼も私に心を開いてくれて嬉しかった。
それから彼は私の生き甲斐になった。もう彼さえいれば何もいらないとも思えた。
しかしそんな自分の浅はかな考えは"時"が安易に覆した。