黄と赤の瞳

□第8章
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たどり着いた先にあったのは、こっちの棟と向こうの棟を繋ぐ細い通路に、円形の広場があるというだけの、簡易闘技場らしき所
しかも何の支えも無いため、空中に浮いている様だった
先ほどの雄叫びの主である白虎は、あたし達とは反対側の通路の高台に居た
体はとても大きく、体長は大よそで、3メートル程…余りの大きさに幽助と桑原は驚きを隠しきれていない


白虎「わざわざ俺様にまで足を運ばせやがって、クソ虫共が……使い走りの玄武を倒したぐらいでいい気になるなよ。」

小雪『俺様って…白虎ってかなり痛い……』


あたしがそう呟いたのが聞こえたのか、次の瞬間白虎は更に大きな声でこう言い放った。


白虎「良いかゴミ共!!てめぇら人間は全部俺の餌だ!!飛影!蔵馬!おのれ等は切り刻んで、腐餓鬼共の餌にしてくれるわ!!」


白虎が大きな声を発しただけなのだが、建物がグラグラと揺れ動き、更にはあたしのお腹の傷にまで害を及ぼす。


小雪(!っいった………)


まるで棒か何かで傷口を抉られた様な痛みだった


飛影「…平気か」


お腹を押さえるあたしを見て心配してくれた 飛影に目で大丈夫と訴える
それを見ていた白虎は不敵に笑った


白虎「くっくっくっ。たったそれだけの傷で顔を歪めるとは…やはり半妖は半人前だな
…何故朱雀様はこんな女を気に入ったんだ……」

幽助 桑原「「??」」

蔵馬「!!」

飛影「!!……チッ………」

小雪『…は ん…よう??』


いきなり出てきた‘半妖’と言う単語に驚くあたし達


小雪(何…それ…)


蔵馬や飛影なら何か知っているだろう…と思いそちらを向く…が、聞けなかった
幽助と桑原はあたしと同様、聞いた事も無い言葉に首を傾げている
だが、それに対して飛影や蔵馬は、何処か納得した様な顔で、また、悲しそうな顔をしていた

聞けるような雰囲気じゃない


小雪(何なの…、半妖って…一体何??)


訳が分からず混乱していると、再び白虎の声が聞こえてきた


白虎「お前、自分のことを何も知らないのか!良いだろう…俺様が教えてや…る…………

小雪(ッ何!?声が小さく…って言うか…体が…重…ぃ……)


白虎の言葉の途中で突如薄れていく意識
それと共に自分の体に触れる体温
あたしはこの温かさを前にも感じたことがある
それはきっと、いつもそばで見守ってくれていた、彼の体温…

少し離れたところに、今にも謝って来そうな顔の蔵馬が見えた
最後に見たのは、複雑に表情を歪め一言…


飛影「すまん、お前には…まだ………」


そう呟いた、飛影の悲しそうな顔
あたしはそのまま、意識を手放した―――――……




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