黄と赤の瞳

□第3章
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小雪『…うん、多分ね…。』


返すことができたのは、曖昧な答えだけだった
小さい頃からあたしだけに見える アイツ等が居る…、もしかしたら自分は人間じゃないのかも…
そう考えたことも数えきれないほどあった
自分が何者なのか…正直な所あたしにも分からない


飛影「…そうか」


と飛影は言う
あたしが曖昧に言ったことには何も言って来なかった
それが彼なりの優しさなのかもしれない
そしてあたしは、ずっと思っていたことを少し躊躇いがちに飛影に聞いた。


小雪『飛影は?…飛影は…人間…?』

飛影「…俺は妖怪だ、貴様が言っていたアイツ等も、な」

小雪『…そっか。やっぱりそうだったんだね』


初めて会った時の疑問がやっと無くなった
あの違和感…やはり彼はアイツ等と同じ……ううん同じだけど、違う存在


飛影「…解っていたのか、…俺が、怖いか?」

小雪『……怖くないよ…飛影は…アイツ等とは違うから』


飛影の瞳は少し不安を帯びているような気がした
それを取り除いてあげる方法を知らないがために、思っていることを素直に言う事しかできない
そして、あたしの中では 新しく1つの疑問が湧いていた


小雪『ねぇ、飛影。』


先に言っておくけど――――……


飛影「…何だ。」







――――雰囲気壊してごめんなさいッ!




小雪『…何で“貴様”って呼ぶの?』

飛影「…………………」



普通ならあたしだって そんなこと気にしないと思う
けど飛影には…ちゃんと名前で呼んでほしい
理由はわからないけど 強くそう思った


飛影「…俺が貴様をどう呼ぼうと 俺の勝手だ。」

小雪『(…っ!)…呼んでくれないの?』


名前を呼んでくれない…それだけで胸が張り裂けそうなくらい、寂しくなった
自分でも驚くほどだった


小雪(…きっと、あたしが友達に憧れてるからなんだろうな………)

飛影「っ……………、…ハァ…わかった」


仕方ないか…と考えていると、急に飛影が折れてくれて驚く


小雪『?!…ホント?』


あたしは突然の飛影の変わりように 思わず聞き返してしまった


飛影「…貴s……小雪が言い出したことだろうが」

小雪『?!!(飛影が名前…呼んでくれた!)』


そう思っただけでとても嬉しくなった


飛影「?何驚いてる」

小雪(名前…えへへ。♪)


嬉しすぎてあたしには 飛影の声が届かなかった


飛影「?小雪?…おい!小雪!!」

小雪『!っあ…ごめん。』


大きくなった飛影の声であたしは現実へ戻された
しかし飛影は少し機嫌が悪くなっていて、眉間に皺を寄せている


小雪『…ごめん…。なんか、嬉し過ぎて……』


そう言いながら笑うと、飛影はその大きな目を更に見開き顔を赤らめた


小雪(?…あれ?…今日ってそんなに暑いかな?それとも……やっぱり熱か何かッ?!)


あたしには飛影が顔を赤くする理由が、全く分からない
そのため必要以上に戸惑ってしまった




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