黄と赤の瞳

□第4章
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あれから一ヶ月経った
妖怪に襲われた次の日から、飛影との修行を始め欠かすことなく続けてきた
飛影は余っていた刀を一本くれた
それを使って頑張っていると、その辺にいる弱めの妖怪くらいは倒せるようになった
けどこの前のような不思議な力は、あれから一度も使えていない


小雪(…素質がないのかな。)

最近ではそう考えることも 少なくはなかった
そんなある日の晩のこと
いつものように飛影と一緒に寝ようとしている時だった


飛影「小雪、明日は少し出かける……夕方には戻る」

小雪『…ん、わかった』


となると、明日は一人で剣技の練習
上手くなって、彼に見せてあげよう、などと考えるとなかなか眠れなかった





――翌朝


小雪『…ん…、…飛影?』


既に飛影の姿はなく、彼の寝ていたところは冷たくなっていた
途端にもの凄い寂しさに襲われる
昨晩あれほど綿密に練っていた計画は、この時既に崩れかかっていた
…いつの間にか飛影は、自分にとって大切な存在になっていたのだ

そんな簡単なことにやっと気づいた

それが、いつも一緒に居る“家族”のような存在だからなのか、はたまたそれではない別の“何か”なのかは全く分からない
少なくとも今の自分は、そんなことを考えている余裕がないほど胸が締め付けられていることだけはわかった


――チャキ


飛影に貰った刀を抱きしめると、その重みが体に伝わる


小雪『飛影、早く帰ってきて…。』


小さく呟いたその声は、洞窟内の空洞音に掻き消された




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