黄色のサッカーlove

□◇第7章◇
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地区予選の一回戦で当たった、桜川西チャレンジャーズ
いつものプレーだったら、前半だけでも大差が付くと思っていたんだけど
コーチの不可解なポジション決めで、三つ子の三人が怒っちゃって
そのせいで皆がギグシャクなってしまい、結局前半は

2-1

で終わってしまう
そして、後半が始まった




『(……っはぁ…お腹痛い…)』


沙由梨にとっての初試合
しかも前半のあの空気は、いくらポジティブに考えても…良いとは言えない
緊張と不安でパンク寸前
…どう考えてもこのままじゃいけないコトは 目に見えてる
けど彼女だけでどうこう出来る問題じゃないのもたしか
みんなが変わらなければ、意味がない


『(…どうしたら…)』


打開策が何も見つからないまま、ボールは動き出した
しかし、前半と動きは全く変わらず、3人だけでのプレイ
みんながゴール前で塊になっている
そんな状況を打開しようと考えている者がふたり、翔と凰壮だ


「(駄目だ…これじゃさっきと同じ展開だよ……何か、流れを変える指示を出さないと…)」

「(…前半はカッカして強引に攻めたけど、このパターンじゃもう点が入らないのは……分かってんだよな)」


自分で考えるサッカーをしろという花島コーチ
今点数が入らないのはきっと、ゴール前に塊があるから
そして、チームとして動くことができていないから
ボールが通る隙間がないのに、シュートできるわけない
見方が居なきゃ、パスできるわけない


『(隙間を作る為にはどうすば…)』

「皆!下がって!!」

「っ?!」

「もっと中盤のスペースを使っていこう!!」


翔の冷静かつ的確な判断に、最初に動いたのは凰壮君


「っだよな、……竜持!一回戻せ!!」


竜持から凰壮へパスが渡る
ボールを受け取った彼が立っているのは、コートの大体中心辺り
彼はそこからロングシュートを打った
その行動に、何か気づいた様な顔をした竜持


『??』


彼女は、その行動の意味が全く理解できていなかったが、彼の雰囲気が変化したことだけはわかる
キーパーから放たれたパスを奪い、そこから直ぐにシュートを打つ竜持君
跳ね返ったボールを、今度は虎太君が

シュートに怯えた桜川は、全体的に前に出て、更に3人を集中的にマークする
パスが出せない状況になってしまう3人

無理だと判断した凰壮から、試合の流れを変えるパスが出された
彼がパスを出した相手は……エリカちゃんだった


「え?」


驚いて固まるエリカちゃん
この試合で、初めて三つ子以外にボールが渡った瞬間だった





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