黄色のサッカーlove

□◇第6章◇
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試合当日、午前5時頃…
沙由梨はいつもより早く川原に来て、1人でリフティングの練習をしていた


『(…少しでも…上手くならないとっ…)』


そんな風に気持ちが焦っているからか、なかなか上手くならない
何度もボールを落としては、それを拾いに行く
流石に顔面には当たらなくなったようだが……
暫くすると、いつもの時間に玲華ちゃんが来た

そこからはふたりでパス練習


『玲華ちゃんやっぱり上手だね!…ってあれ?』

「そ、そんなことないよ!どうかしたの?沙由梨ちゃん」


土手沿いの道に彼女のよく知る、二人のシルエットが写った


「玲華ちゃん!沙由梨ちゃん!」


その二人とは……エリカちゃんと翔くんのことだ


「あ、おはよう」

『おはよ〜』

「おはようはええけど…こんな時間から練習してんの?」


確かに普通に考えたら寝てるような時間帯…
当然の質問だ
しかし、こんな時間から練習を始めても、まだまだ時間が欲しいくらい時間が足りなかった
これ以上早くは起きれないが……


「うん、少しでもみんなのお荷物にならない様にと思って…」

『あたしは、迷惑とか、足でまといになりたくないから……』

「二人とも……誰もそんな事思ってへんのに…」

「だって、虎太君が…」


玲華ちゃんの口から虎太君の名前が出た瞬間、ドキリとした
やはり、あの態度が彼の印象を悪くさせている様だった


「あいつはああいう奴や、言わしときゃええねん」

『虎太君は、きっと玲華ちゃんが心配なんだよ』

「 「 「!!」 」 」

『サッカーが好きだから、玲華ちゃんにも好きになってほしいし、ボール怖がって怪我とかしてほしくないんじゃないかな?』


何故かは分からないけれど、彼女の中には確信に似たようなものがあった
エリカちゃんの言葉には、どうしても納得出来なかった
まるで、彼がすごく悪い人って言ってるように聞こえて


『きっと、不器用過ぎるだけなんじゃないかな?……なんてっ!ただの憶測だけどねッ!!』

「…なんか 沙由梨ちゃんが言うとそんな気もしてきたわ…」

「アハハ…、…ん?あれ………降矢君達じゃない?」


ふと、自分たちが来た方向に視線を向けた翔君が驚いた様子で呟いた
そういえば、そろそろ彼らが通る時間
事実、翔君が見たのは虎太君達だった


「ホンマや」

「お〜い!!」


翔君が叫ぶと、その声に気が付いた3人はランニングを止めてこっちに向かって来た
それにしても、翔君の声は本当に大きいな
そんなどうでもいいことを考えていた者が一人





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