黄色のサッカーlove

□◇第3章◇
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『…よしっ、とにかく頑張ろ』


彼女が虎太に自分の過去を話してから一日
ついに新しい学校での生活が始まった
沙由梨は今、担任の先生と一緒に新しい学校の廊下を歩いていた
彼女は新しいクラスに胸を躍らせていた


(どんなクラスだろう…ていうか隣の人どんな人なんだろ……そういえば、虎太君は何処の学校なのかな…?)


昨日の事があってか、彼のことが妙に気になってる気がする
同じ学校だったらいいなぁ、なんて考えていると、教室の前まで来ていた


「じゃあ僕が呼ぶまで ここで待っていてくれ」

『はい』


あたしが返事をすると先生は教室へ入って行った
いよいよかと思って、今になってじわじわと緊張感が襲ってきた
あたしはとりあえず落ち着こうと努力する


「じゃあ転校生に入って来てもらう」

先生はそう言って此方を向き、自分を呼んだ
落ち着く暇はなかったが、思い切って教室へ入った


『えっと瑞嶌 沙由梨です………こんな時期の転校生だけど、これからよろしくお願いします!』


あたしは微笑んで小さくお辞儀をした
その時教室が煩くなった


(?!な…何?な 何かおかしい事言っちゃった?!初日から失敗?!)


いきなり騒がしくなった生徒たちを見て焦り出す
しかし、彼等が騒いでいるのは彼女のその容姿からだった


――「あの子すっごく可愛いね!」

――「ホント!いいなぁ〜」

――「やっべぇ、俺一目惚れしたかもっっ!!」

――「オレ、あの子狙っちゃおっかな」


勿論彼女はそれに気づかず、彼等のその声は全く聞こえていなかった


「静かにしろ!…とりあえず瑞嶌は…あそこだな…」


騒がしくなった生徒たちを一喝し、そう言った先生は窓側の列の後ろの方を指差した
そこを見ると誰も座っていない机が…横に二つ並んでいた


『…え?あの…どっち、ですか?』

「!あぁ…右側の席だ」


右側……つまり窓際の一番端っこの席である
それにしても、何故隣の席には誰も座っていないのだろう
そう思いながらあたしは荷物を置いた
すると斜め前の男の子が話しかけて来る


「なあ…隣の奴、気を付けた方がいいよ」

『え?』


そう呟く男の子の顔は少し青ざめていた
どういう意味か聞きたかったけど、先生が話し出してしまった為それ以上聞くことが出来なかった





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