短編
□PRIDE
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『隆二ー!お疲れさま!今日も格好良かったよ!』
「あまね!サンキュー!あー楽しかった!やっぱライブは最高だわ」
『フフフ………やっぱりライブはいいね!あー早く私もやりたいなー!』
わたしの名前は桜あまね
一応歌手をしている
歌手と言っても頭に(売れない)が付く歌手
そこそこテレビなどには出ているが、これといったヒット曲もなく、最近では歌手よりも女優としての仕事が多くなった
本当は歌いたい
でも売れない
事務所的には売れない歌を出すよりそこそこ身に付いてきた演技力でテレビに出したいようだ
そんな中途半端な仕事しかできない私
そんな私の彼氏………隆二
言わずと知れた人気グループのボーカル
そんな隆二と出会ってからもう5年も経つ
事務所は違うが同期の私達
音楽番組で知り合い意気投合
私のどこを気に入ってくれたのか、よく食事に誘ってくれた
何度も会う度に隆二の歌に対する思いや真剣さを知り、格好良い人だなって思った
その反面、以外に天然ぽい所や喜怒哀楽がわかりやすくて素直な人なんだなって
音楽の事
歌の事
たくさん教えてもらった
そんな隆二を好きになるのに時間はかからなかった
「初めて会った時からあまねちゃんの声とその笑顔ににヤられたんだ………もし良かったら俺と付き合ってください」
何度目かのデートで告白された
『私でよければ………お願いします』
「ヤッター!」
満面の笑みを浮かべる隆二につられて私も笑った
あれから5年
何年経っても隆二は変わらず私を大事にしてくれてる
私は一緒にいればいるほど隆二の事を好きになる
こんなに私を思ってくれる人なんてこの先絶対にいない
でも………
デビューして5年ちょっと
どんどん人気が上がって行く隆二
そして、5年経っても中途半端な私
知り合った頃は二人とも初めての事だらけで………
《とにかく有名になりたい》
と、上を目指し同じ夢に向かってがむしゃらに走った
いつも少しだけ前を走る隆二の背中を必死に追いかけた
だけど今、彼氏としては隣にいてくれるけど
歌手として少し前にいた隆二の背中はとっくに見えなくなっていた
私………5年以上も何してるんだろう………