荒神狂想曲

□理性:自制=4:6
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『お疲れ様です!全てのアラガミ、沈黙しました』
「ああ...サポート、助かったよ...」
『あ、第一部隊がそろそろ着くようです。迅速な任務遂行で出番は無しですね』
地面に寝転がり、ぜえぜえと呼吸を繰り返すアリア。かく言う俺も息が荒い。コアを回収し回る気力はあるが、アリアは起き上がるのがままならないほどに疲れていた。何せ、暴れ回ったクアドリガを追いかけ、それを阻むようにオウガテイルが集まり、応戦していると戦闘音を聞きつけたらしいコンゴウが参戦して更にはクアドリガも戻ってきてまさに阿鼻叫喚。流石にキレたアリアがアラガミのように暴れ返して現在に至る。
「アリア、バンにもど...っ!」
コアの回収を済ませ、苦しそうに喘ぐアリアを今やっと振り返ったがコンマ秒で顔を逸らした。あの激戦だ。服が多少破れるのは当たり前なのは分かっていた。だが、これは破れすぎだ。
オウガテイルの払われた尾で腹辺りが細かく裂け、クアドリガの砲撃で服が少し焦げ、更にはコンゴウの空砲をまともに食らった時に服の被害が拡大。日に当たっていない白い肌が剥き出しだった。昨日の今日で俺が気にしないとでも思ったか。
「ソー、マ」
「っこれ、着とけ」
やめろ、んな声で呼ぶな。
そんな気持ちも込めて上着を被せる。
「ん」
「一度バンに戻る。おぶってやるから神機を落とすなよ」
「ありがとう...」
のろのろと袖に両腕を通したのを確認して、アリアの目の前にしゃがむ。そしてまたのろのろと俺の背によじ登り、安定した位置に落ち着くと大きくため息を吐いた。傷に触らないよう立ち上がり、なるべく速く歩いた。...背中が柔らかい。


あの後、無事にアナグラに帰投した俺は真っ先にアリアの部屋に入った。流石に着替えさせてやらないと俺の目のやり場がない。
「風呂に、入りたい」
「!?」
困った。出て行けば良いのか分からない。風呂に入りたいと言ったは良いが、ベッドから起き上がる気配がまるでない。オロオロと服が入っているだろうタンスの前で、俺はホールドされたように固まった。
「ソーマ、」
「な、んだ」
「風呂、入りたいから、出てくれないか?運んで、くれて、ありがとう...」
「ああ、分かった。...じゃあ、」
ホールドは、アリアが申し訳なさそうな顔で俺の退室を願ってやっと解けた。開放してくれて良かった。心底良かった。おい、静まれ心臓。...上着忘れた。

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