荒神狂想曲

□死の際
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「お久しぶりでございます。アリア・ガルシア、上等強襲兵ただいま参りました」
「やあ、来たね。体調はどうだい?」
「お陰様で絶好調です」
「そうかい!そうだ、これをあげよう。食べながらでいいから、あの日に何が起こったのか、そして、眠っていた間何を見たのか」
「ありがとうございます。...あの、これ、焼きジャイアントトウモロコシですよね?高価な物じゃないんですか?」
「うん、アリアくんには元気になってもらわないと、蘭瀬くんに首を跳ねられちゃうからね」
「...すみません、良く言い聞かせておきます」
「いやいや、仮にも君の身柄を預かっているのは私達だからね」
「そうですね。...えっと、あの日の事ですよね?そうですね、何から話しましょうか」


あの日はまあいつも通り、日が昇る前から任務に出ていましたね。寝付けずボーッとしているより、アラガミを相手にしている方がよっぽど生きている感じがするので。
第一犠牲アラガミはヴァジュラでした。いつ見ても神々しかったですね。...え?ちゃんとコアを摘出しましたよ。そんなアラガミに情けけんてかけれません。何人部下を取られたと思ってるんです?
えっと、何でしたっけ。そうそう、アラガミを倒していたらいつの間にか日が昇ってたんです。沢山アラガミを相手にしましたが、やけにヴァジュラが多かった気がします。中にはプリティヴィマータもチラホラいました。別に何とも思わなかったんです。そういう日もある。そう思って、ふらふらフィールドを駆け回ってたんです。たまに動き始めた別部隊のバンに乗せてもらって、そこに混ざったりしていました。
そして、その日何度目かの嘆きの平原で別部隊と別れ、遠くの空を見たらもう日が昇っていました。
この時に、ヒバリから緊急連絡をもらいました。贖罪の街に大型アラガミが多数接近、第一部隊だけでは戦力に差がありすぎるので救援を願う、と。急いで向かいましたが、丁度その時にアリサが誤射をして建物が落盤、リンドウ大尉が孤立状態となりました。サクヤ衛生兵は助けようと岩に発砲しましたが、ブラストではないので岩を退かすことができませんでした。
あ、ちょっと待ってください。トウモロコシ食べたいです。

...はい、すみませんでした。
後はまあ、報告通りです。リンドウ大尉の命令で私は退路を開きました。
皆を撤退させた直後、右腿に引っ掻き傷を付けられ、一度押されかけました。ですが、まあスタングレネードであしらつつなんとか掃討完了。
その後、岩を退けようと神機を手に取りましたが、激戦ゆえに神機は死んでしまいました。生き返るまで一時休憩を挟んだのですが、間髪入れず新手がリンドウ大尉の元に...。
...あ、いえ、話します。話さないと、すっきりしません。
暫くは通常通りに戦闘していました。私は神機が回復してから岩を除去してから参戦するよう言われていましたので、待機していました。
ですが、リンドウ大尉の腕輪が損傷してしまい、リンドウ大尉に撤退しろと命令されました。
恐らく、リンドウ大尉はアラガミ化したか、喰われたかのどちらかです。確信は持てません。

あと、夢でしたっけ?...そんな難しいこと言わないでくださいよ。どうせ覚えられませんから。
...ソーマに抱きかかえられていた間は、視界が霧がかっていて...え、これじゃありませんか?投与された辺り...あっ、心臓を圧縮されたとこですか!ちょ、そんな目をかっぴらかなくても...。
ふむ。博士が見たのは、私の身体が跳ねた所ですか。
まあ確かに跳ねるようなことをされましたね。
私の夢で、いつも私に幻影を見せるアラガミが、黒い塊として目の前に現れました。ぼたぼたと黒い血を流していました。段々掠れ、あと少しで消滅してしまうというとき、私の上から光が雨のように降ってきました。
今思えば、あれは投与された偏食因子だったんですね。アラガミが私に向かって突っ込んできましたから。
アラガミにとっては、大事な資源の一つだったのでしょう。ぶつかった私と同化しながら、かつ死ななよう心臓圧迫して血液と酸素を送って脳を守ってくれました。
同化したアラガミはどうした、とは?...ああ、全身に散らばりました。お陰さまで寝ていても、幼い頃から鍛えていた筋肉が衰えずに済みました。妨害も無くなりましたので、気持ちよく寝ることもできます。
...えーっと、以上、でしょうか。


「成る程ね...。つまり、リンドウくんの事は、あの状況を想定してのMIA発言、ということだね?」
「はい。紛らわしい発言をしてしまい、申し訳ありません」
「いやいや、いいんだよ!君の話しを聞けただけでも大収穫さ!...無謀かもしれないけど、リンドウくんの捜索をお願いしてもいいかな?」
「捜査隊は?」
「断ち切りだ。腕輪はおろか、神機さえ見つけられてないんだ。ヨハンには、内緒だよ?」
「...分かりました。いつも通りの任務を隠れ蓑に、リンドウ大尉の捜索を遂行いたします」
「助かるよ。あ、そうそう。メディカルチェックするから、そこに横になって。アラガミの効果が気になるからね!!」

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