荒神狂想曲

□入隊、再会
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「紹介するぞ。今日からお前たちの仲間になる新型の適合者だ」
「初めまして。アリサ・イリーニチナ・アミエーラと申します...」
「彼女は実戦経験こそ少ないが...」
ああ、暇だな。
話しを聞き流しながら、ガラにもなく、そう思ってしまった。横に立っているアリサは勿論、目の前に立ち並ぶ私のゴッドイーターとしての先輩は見るからに薄い。
女性は羨ましいが胸がある。しかし戦闘中にそれは邪魔になるのでは?
男性は薄すぎる。ムキムキが強いというわけではないが、最低限の筋肉というものがない。ゴッドイーターだからパワーは一般人ではない。
しかし気になってしまう。やはり職業病というものだろうか?
「お初にお目にかかります。外部居住区護衛軍指揮隊長、及び訓練長を務めるアリア・ガルシアと申します」
「アリアは聞いての通り軍人だ。だがゴッドイーターに関しての知識は無に等しい。同時に向こうの指揮をとるときもあるだろうが、あまり突っ込まないでやってくれ。...アリアは以後、そこで口を開けているソーマについて行動するように」
「ソーマ?」
ボケッとツバキによる自分自身の説明を聞いていると、会いたくて仕方がなかった親友の名が上がった。そういえば、さっきから妙に落ち着くなと思っていた。
皆が向く方に視線を移すと、青いフードを被った間抜け面があった。それはもう幼い頃から変わっていない顔を見た瞬間、飛びついた。
「ソーマ!!久しいな、元気だったか?」
「...っああ、元気だ」
「ソーマずるいー。ぼっちかと思ったら美人と仲良しかよー」
「本当だぞ、ソーマ。美人な幼馴染?いるんなら紹介しろよー」
ソーマがおずおずと私の背に腕を回した時、横から男二人が茶々を入れてきた。
「幼馴染じゃねえ。...な」
「そうだな。兄弟でもいいかもしれないが、私達には親友が似合う」
「だな」
「え、ソーマ、どういうことなの!?」
「サクヤ、少し待て。アリア、まだ話しは終わっていない。こちらを向け」
「はっ、軽率でした。申し訳ありません」
「アリアはソーマ、アリサはリンドウについて行動。いいな」
「了解しました」
「了解いたしました」
「リンドウは資料などの引き継ぎがあるので、私について来るように。以上だ」
はしゃぎすぎたみたいだ。ツバキ上官に叱られてしまった。だが上官は上官だ。敬礼でお見送りしなければ。
「...お前は立派すぎる兵になったな」
「礼儀諸々叩き込まれたのでな。今更抜けられない」
「だろうな」
ツバキ上官とリンドウ、という男がエレベーターに消えたので敬礼を解き、名も知らない仲間に向き直った。
「名を聞いても?」
「お、俺、藤木コウタ!」
「俺神薙ユウ!」
「私は橘サクヤよ。アリサもアリアもよろしくね」
「はい、よろしくお願いいたします」
「...よろしくお願いします」
にしても、アリサは中々仏頂面だな。折角綺麗な顔なのに。
「にしても、あなたって結構緩いんですね」
「...と、いいますと?」
「会ったときは極東はまだマシなんだなって、軍隊に居たんだって、思ってましたけど、やっぱりここの人って自覚足りないです」
...緩い、ねえ。
「では聞こう。この職業...ゴッドイーターは、仲間に厳しくしていかなければいけない決まりがあるのかな?確かに軍にいると厳しいのは当たり前だ。舐められると命令に従わないからな。...それとも、軍人は常に、しかも友人にも厳しく、そして威嚇しろと、君はそう言いたいのかな、新兵アリサ殿」
「べ、別にそこまで思ってませんよ!っていうか!あなた達もよく浮ついた考えを持てますね!?」
「え、えぇ〜!?」
...呆れた。私に勝てないと判断すれば標的を他に移すなど、兵にあるまじきことだ。
「...所詮、人の子か」
「は?」
「いや、こちらの話だ」
まあ、戦いに私情を持ち込まなければいいが。

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