幽霊な君との1週間 黒バス/黄瀬


□Monday
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チュンチュン

窓から眩しい光が差し込む朝

「……眩しー」

重たい体を無理やり起こして、目覚まし時計へと視線を移す……
いつもとは違い、床に転がっている時計

8:13分

………

「…や……やっばい!!?」
ちょ、なんで目覚まし鳴ってないの!?

君がほり投げたからね!?

遅刻フラグだー!
私は大急ぎで髪を整え、教科書を手当たり次第鞄に入れ、5分で家を飛び出した

あれ? 黄色が目の横に写ったような気がするけど、、、それどころじゃない!!

あ、これ持久走で1位取れるんじゃない!? とか思いながら学校への道を猛ダッシュするのであった……












ふぅ。なんとか遅刻せずに済んだみたい
今日は朝から疲れたなー、何も起こらなければいいけど……

私の願いは、この後儚く散るなんて思ってもいなかった





放課後、部活は入っていないため、家に帰る道を歩く
昨日スーパーで買いだめしたから今日は買い物行かなくていいや
晩ご飯なににしようかな、なんて考えていたら家が見えてきた


「ただいまー!」

1人ぐらしだけど、もしかしたら、返事が帰ってくるんじゃないか。と思って今までもずっと言ってきた

「おかえりなさい!遅かったッスね!」


……は?


…………誰ーーー!?

私は、鞄の中をあさり、携帯を取り出した

「…あ、あの、警察の方ですか?家に見知らぬ人が、 「ちょ、ちょっと待ってくださいッス!!この顔に見覚えないッスか!?」 ………」

「…あー、すみません、兄でした。はい、大丈夫です。お騒がせしました。」

いや。でも私はこんな人しらないよ!?
黄色髪の親戚……はいないし。

「まだ思い出さないんスか〜……」

黄色髪が捨てられた子犬みたいにうなだれている
見覚えのあるような傷ついたような悲しい瞳……

「……あっ!!!」

「そうッス!昨日公園で会った!!」

黄色髪は嬉しそうに、尻尾を揺らしてる……ようにみえる

「それにしても、不法侵入は駄目だと思いますけど」

さすがの私も、帰ってきて知らない人がいるのはびっくりした
でも、次に彼から聞く言葉にさらに驚いた

「誤解ッス!!信じて貰えるかわからないッスけど、俺……幽霊…なん、スよ……」

だんだんと勢いをなくしていく声、、、

………はい? 待って、全くいていけない

「幽霊って、すみません、何ごっこですか?」

私がそう答えると、黄色髪が、思いついたように、

「じゃあ、俺に触れてみてくださいッス!!大丈夫!なにもしないッスから!!」

早く早く!と急かすような瞳に、もう、1回だけですからね?と、手をのばす

その手は、彼の手に触れる……


ことはなく、その腕を、すり抜けた

「、、、な、んで!?」


そう、彼は本当に幽霊だった

「……じゃあ、仮にあなた…「黄瀬涼太っていいます」……黄瀬さんが幽霊だとして、なんで私の家に?」

まず浮かんだ当たり前の質問、それに彼、黄瀬さんは

「そんなの、君が俺のこと見えるからに決まってるじゃないッスか〜」

イラッ☆

「そうですか、それは良かったですね。お引き取り願います」

私がキッパリ言うと、また少し、瞳を悲しみの色に染めた
あの瞳は、嫌いだ。自分と似ているから。そして、、、私はその瞳を放っては置けない。


「……はぁ。私、花蓮陽菜って言います。
行くところがないなら、私の所に居てもらっても大丈夫です。1人ぐらしなんで」

私がいい終わらないうちに、黄瀬さんは、
「ありがとうッス!!!陽菜っち!!」

……陽菜っち? なんだそれはと目で訴えると、黄瀬さんは尊敬する人には〜っちって付けるんスよー!って満面の笑みでこちらを向く

騒がしくなりそうだなー、と、私は自分で気づかないほどの小さな笑顔でつぶやいた
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