戦勇。×アビス

□盗賊への襲撃
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3人は出口に向かって再び歩き出した。
すると出口の河の前で水を汲んでいる男性が居た。
「何だアイツ?」
「さあ…?」
ルークとアルバがコソコソ話してるのに気づいたのか、男性がこちらを見る。
すると吃驚したように水を汲んでいたバケツをひっくり返す。
「ひっ!ま、まさかアンタ達…漆黒の翼か!?」
「漆黒の翼?」
男性が叫んだ言葉をティアが繰り返す。
「盗賊団だよ!
この辺りを荒らす三人組だ!
あんたらのことだろう!?」
「漆黒の翼ぁ?だっせぇ名前だな」
「る、ルーク!いくら盗賊団でもそういうことを言うのはやめなさい!」
「…厨二くさい」
「アルバまで!?
……えっと、私達は漆黒の翼ではありません。
ちょっと道に迷ってしまって…」
ティアの言葉が真実なのを理解したのか男性はホッとして、三人を見る。
「そうか。まあ自分の団のことをそんな風に言う奴もなかなか居ないもんな。
あんたらを信じるよ」
「ありがとうございます」
ティアが男性に頭を下げる。
男性はティアを見つめた後、ルークとアルバに視線を向け、良いことを思いついたかのように三人に尋ねる。
「道に迷ってるなら、俺の辻馬車に乗せてやろうか?」
「!本当ですか!?」
「ははっ、金は取っちまうけどな」
「馬車は、首都へも行きますか?」
「あぁ、終点は首都だよ」
「願ってもみなかったことだぜ!
なあ、乗せてもらおうぜ!」
「そうね。私達土地勘が無いし…お願いできますか?」
「構わないが、首都へ行くなら一人12000ガルドだぞ」
「高いわ…」
御者の言葉にティアがボソリと呟く。
「そうか?安いじゃん。
首都についたら、親父が払うよ」
「駄目だよ。うちは前払いじゃないとね」
「…ケチ」
アルバが物凄く小さな声で呟く。
どうやら御者には聞こえなかったようだ。
(コイツ意外と人の心抉る発言するよな)
(そ、そうね……ほんと、意外だわ…)
二人が目で会話している中、御者はまた水を汲む。
「持ち合わせはあるのかい?」
「……これを」
ティアがしばらく戸惑った後、決心したようにペンダントを渡した。
「ほ〜う…コイツは良い宝石だな。
よしきた!乗っていきな」
「!」
アルバはティアのペンダントを見てティアを見つめる。
「へー、お前良いもん持ってるな。
これでもう靴を汚さなくて済むぜ」
ルークはそう言い残して御者の後をついて行く。
「アルバ、行きましょう」
ティアに急かされ、アルバは頷くが、どうも不服そうだった。
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