刀剣乱舞

□遠い未来の彼方から
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3015年____


そこは千年前には考えられない世界と化していた。
まず、科学の進化。
ようやくタイムマシン完成も間近になり、ゲームも千年前のようなタッチしたりして、あくまで画面場で楽しむものではない。
脳を直接繋げることによって意識だけがゲーム内に入り、痛覚、味覚といった全ての五感をコンピューターが操作し、実際にそれを体験しているかのように遊ぶことができる。
仕事や容姿なども、コンピューターの適正反応に合わせて選ぶ。
全ては、システムの監視の元で行われているのだ。

そして、1番変わったのは犯罪率。
15年前の3000年、突然現れた謎のウイルス。
通称「TK-45」という。
TK-45は、感染すると殺意にまみれ、近くの人間を襲うという危険なウイルスで、今の日本では感染者が人口の4割を超えてしまった。
残っている6割の人間は、ウイルスに感染しないようにバリアを張って境界線を作り、その中で生きている。
それが出来たのは三年前。

その境界線は西日本と東日本の間にあり、西日本は殺人者の渦と化している。
私がいるのはもちろん東日本だ。

政府は日本を元に戻すために対抗ワクチンを制作しているようだが、まだ未完成である。
試作品ができる度に警察官が「向こう側」へ行き、見つけた感染者に対して打ち込み効果を試している。
が、一時的に元に戻す効果はあってもまだ完全にウイルスを殲滅するワクチンはできていない。


とまあ、この世界についてはこんな感じだろうか。


そして、今日はその試作品を試す日。
私は今、私服姿で警察署を歩いていた。


「あーあ、今日の当番は私と桜ちゃんかー。」


「まあまあ、そう落ち込まないの。どうせ今回も失敗。さっさと試して帰りましょ」


「うん、そうだね。頑張ろう」


彼女は此花 桜。
私の同僚であり、階級は巡査。ちなみに私も階級は同じ。
美人を思わせる容姿と、背の高さ。
身長が153しかない私にとっては、168ある桜が羨ましくて仕方ない。

とまあそれは置いておいて、試作品は2人ずつの当番制で試される。
ウイルスが発生してから、殺しが何件も発生し、こうして境界線が出来る前は警察も何人も殺され、今は人手不足なのだ。
しかも、何故か試作品を試しに行った片方の警察官は、何故か向こうで行方不明となっている。
毎回男女で行ったとしても男の警察官が行方不明になっているので、女性警察官のあいだでは大丈夫と言われているが、本当にそうなのかそれも疑心暗鬼である。

そして、今日が私と桜の当番に当たっている日。
これから制服に着替えて西日本に行かなくてはならない。
…憂鬱


「ふう、試作品貰ってきたわよ。はい、4本しかないから外さないでよ?」


「もう、わかってるよ桜。大丈夫大丈夫」


「…本当かなぁ」


ウィルスは触れることによって感染する。
今のところは空気感染は確認されていないため、長袖長ズボンの制服を着て行くだけである。
そして、なるべく近付かずに試すために試作品専用の銃が用いられている。
そこへセットして遠距離から打ち込むのだ。


「誰に説明してるのか知らないけど、早く行くよ。…今日は夜から雨が降るらしいから」


「雨か…やだな。じゃあ早く行こう桜!」


「あんたを待ってたんですけど…?!」






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