絶望の淵で。
□第八衝突
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「みんな、お待たせ!ドリンク持ってきたよぉ!」
「ああ、美香ちゃん。ありがとう。じゃあドリンクも来たところだし、休憩にしようか。」
「わかったよ。」
大石が言い周助がそう答えれば直ぐに寄ってくるみんな。
そう、私だけの王子様。
「はい、ドリンク!」
「さーんきゅー!!いやー、今日はちょっとハードだったから喉乾いたんだよ!ね、大石!」
「あれくらいでハードなんて言ってたらこれから持たないぞ、英二。…ありがとう。」
「はーい…ん?」
ドリンクを飲んだ人が口々に顔をしかめる。
「あれ、みんなどうしたの?」
「いや、今日のはなんだかいつもより味が薄いなと思ってね。」
「伊幸が作ったドリンクな確率、86%…。この間のドリンクと似ているな。」
「確かに、いつもより味が濃い気がするよ。タカさんはどう?」
「俺は濃さについては丁度いいけど。普通って感じで」
口々にうーんと頭をかしげる。
そういえば、あいつは立海のときも好みによって味を変えていたという事を思い出す。
まさか四天宝寺にまでそれをやるとは思わなかったが。
「なんで名前さんのドリンクがここにあんの?」
越前くんがそう何か意味を込めた目で見ながら聞いてきた。
この子は私が入った時から一向に懐いてくれない。
流石にやばいと思って口を開いたとき。
「あ、それは…「もしかしてあいつ、美香先輩と俺らの仲間割れを狙ってわざとやったんじゃねーだろな…」
海堂くんが怒りを交えながらそう言った。
それにあわせて桃白くんまで
「おおマムシ。お前にしては頭いいじゃねーか。絶対そうに決まってるぜ。…許せねーな、許せねーよ。」
…ふふっ、なんだか面白い方向に話が進んでくれたみたいで良かった。
「ち、違うよ!たまたま間違えて私がドリンク取っちゃっただけかもしれないし…ね?だからみんな、名前ちゃんを責めないであげて?」
「美香ちゃん…。なんであの子を庇うんだい?あの子は君をいじめたんだよ?」
「大石の言う通り!あんな奴庇わなくてもいいんだよ!」
「でも…」
「こんないい人だっていうのにあいつ…許せねえ。」
海堂くんがどこかへ向かって走り出した。
「あ、海堂!何処へ行くんだ!」
「ちょっと文句言ってきます」
「お、おい桃!お前まで…」
ふふ、ほんと優しいのね、2人とも…。
それでも。
幸村くんは手に入らない。
「…どうして、どうして…!」
「…?おい加藤。どうかしたか?」
「あ、乾くん。…ううん、大丈夫だよ」
…焦らなくても大丈夫。
メインは明日。
そこで、彼の心は私の物になる。