微笑み家族
□2_smile
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幼稚園に入園してから数日後。
「ねー、起きて?」
精「んー、あと5分…」
「幼稚園送らないといけないの!遅れちゃう!」
精「…そんなのいいじゃないか」
…只今精市お寝ぼけ中。
✿ ✿ ✿
30分前、6時30分
笑「…お母さん、おはよー」
みんなの朝ごはんを作っていた私にてくてくと近寄ってきて挨拶してくれたうちの天使。
「おはよー笑。自分で起きれたんだね!えらいえらい!」
少し調理から手を止めて、笑の頭を撫でながらにっこり微笑むと、一緒に笑もはにかんでくれた。
「よし、じゃあお着替えしてきて!お母さん朝ごはんつくるから!」
笑「うん、わかった!」
またまたてくてくと着替えを取りに行く笑。朝からすごい可愛い…!
少し経って、朝ご飯を作り終わり、テーブルに並べていると、笑が私の服の裾を引っ張っていた。
振り返ると、ジャーンと効果音をならしながら私に服を見せてくる笑くん。
「よーし、偉いねー!」
また笑の頭を撫でると、とても気持ちよさそうにしていた。
手を離すと、なんだか名残惜しそうに手を見つめる笑。
あらら、撫でられるのが気に入ったのかな?
「ふふ。朝ごはん出来たから、お父さん起こしてくるね」
笑「うん、わかった!」
精市は今日、なんか会社に出る時間が遅くてもいいとかなんとかで、今もぐっすり寝てます。
それで、昨日は真田くんと柳くんと飲んできたとかで、結構遅くに帰ってきました。
いつも私が起きると頭を撫でておはようと言ってくれる精市。
さすがに今日は起きれなかったようです。
そして寝室へ行き、布団をめくろうとした瞬間に腕を捕まれベッドの中へ…
そして精市の抱き枕状態と化しました。
✿ ✿ ✿
そして30分後
「良くないの!せっかく入園したんだから、遅刻したらかわいそうでしょょ!」
精「んー…離れたくない」
「えっ…うわっ?!」
よほど離れたくなかったのか、抱きしめる力を強めてくる精市。
私は知っているのですよ!昔っていうか現在進行形で精市のパワーがSだということを!←
必死で抵抗していると下から物音がした。
パリーンッ
下には笑一人。何かが割れるような音。
流石にその音を聞いて精市も目が覚めたみたいで、2人で階段を駆け下りる。
「「笑!!!」」
階段を下りてからダイニングのドアを開けると、泣いてる笑と足元にわれたコップが。
笑「あ…、お母さん、お父さん、ごめんなさ…ッ、ヒックッ…」
「大丈夫だよ、笑。お母さんもお父さんも怒ってないからね。それより怪我なかった?」
笑「うん…ッ、だい、じょーぶ…ヒック」
「そっか、よかった。」
笑を椅子に座らせると、精市がコップを片付けてくれた。
精「笑。どうしてコップわっちゃったの?」
「うん、あのね…ッ、コップにお茶、入れたら、お母さんまた、なでなでしてくれるかなって…思って…ッ」
机の方を見ると、二つまでは成功したのか、コップの頂上ギリギリまでお茶が入っているものがある。
「…ごめんね。でもありがとう、笑。いい子だね」
にっこり笑いながら笑の頭を撫でると、笑は涙を拭ってからまた笑顔を見せてくれた。
精「…よし。じゃあ朝ご飯食べようか。冷めたら勿体無いからね」
「そうだね。よし、食べよう!」
食べ始めると、やっぱり少し冷めてしまったみたいで、精市が残念とか言ってたけど、「精市が起きなかったからでしょ!」っ」言うと、ははって笑いながら「ごめんごめん。だって朝から名前が可愛いから」とか言い出して焦りました。
しかもそれで笑まで精市にツーンとしだして、でもそれは可愛かったです。
「よし、準備OK!行こうか、笑ー!」
精「車、俺が運転するよ」
「え、いいよいいよ。精市二日酔いとかないの?休んどいた方がいいよ?」
精「大丈夫だよ、それより早く行かないと遅れてしまうんじゃないかな?」
「あっ、そうだね!じゃあおねがいします!」
そうして3人で車に乗り込み、幼稚園へ出発しました。