絶望の淵で。

□第八衝突
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名前の姿のまま部屋へ戻ると、どうだった?と幸村が聞いてきた。


「幸村の言う通りだったぜよ」


前髪を上にあげて、包帯の下からにじんでいる血を見せる。
転けるのが上手すぎて←つい血まで出てしまったのだ。


「はぁ…全く。青学は一体どうしてしまったんだい?」


中学のとき。
常に勝つことを目標としてきた立海大では、1年生の時、2年生の時と幸村や真田、柳の3人で全国大会優勝へと導いてきた。
しかし中3のときに幸村が倒れ、厄介な病にかかってしまった。
原因不明の難病。キランバレー症候群と呼ばれるものに近いということから2度とテニスが出来ないとまでも言われたときもあった。
そんなこともあって立海は幸村が居なくなったあと、更に勝利に凝っていき、気が付けばテニスというスポーツの楽しさを忘れていた。
そしてそれを忘れたまま全国大会の決勝戦へいき、青学に敗れた。
しかしその敗戦のおかげで、テニスの楽しさを再び思い出したのだ。
幸村の難病も、genius10の合宿のあと、海外でもう一度手術と入院をして、今では完治している。
(キミ様に感謝じゃな)←
高校に来てからはまた3強がテニス部を乗っ取るかのように片っ端から先輩と勝負をしては負かしていた。
‥‥『 』のことを引きずっていた時もあったが、名前という存在も増えて、俺たちは互いに励まし合い、強くなった。
…のに、青学は何をしとるんじゃ。
俺らはこの3年、最後の全国大会で今度こそ3連覇を成し遂げるために練習してきた。
が、ここにいる青学は練習量も減り、まだ試合はしていないが確実に弱くなっている。
ドイツへ手塚が行っている間に何が起こったのやら…。
まあ、あの女が原因なんだろうが。

とまあ語ってみるとえらく長文になってしまった。


ふと幸村の方を見ると、優しい顔をして名前を見つめ、頭を撫でていた。





…いや、見間違いだった。
自分の服のすそを握りながら眠っている名前を凄くデレデレした表情で見つめながら頭を撫でていた。



…幸村、おまんも大概ぜよ。
じゃが、それがあいつと重なっているだけなら、早めにやめておいた方がいい…な。







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