絶望の淵で。

□第八衝突
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ドタドタドタドタ


先ほどの会話で頭に血が登った海堂は、名前を探して四天宝寺のコートへと向かっていた。


そしてちょうど財前と話している白石を見つけた。


「財前、それほんとなんか?」


「嘘言ってどうするんスか…。」


「おい、あの女は何処にいる。」


「は?海堂、そんな気荒くして何言っとんのや。」


「黙れ財前。いいから質問に答えろ!!あの女はどこにいる?!」


(一発文句言わねえと気がすまねえ…!)

財前は今にも手を出しそうな海堂を見て、居場所を教えようとする白石をすっと制した。


「あの女ってのは伊幸さんのことか?それやったらちょうど財前と話しとったんや。な、財前…?」


「なんやの、お前。今にも噛み付きそうな勢いやで。そんな奴に誰が場所教えんのやあほ。」


「なんだとコラ…!」


お互いに睨みを利かせているとき、桃城がこちらへ走ってきた。


「おーい、海堂ーー!俺も行くぜー!ってうお、財前。と、白石さん」


「おお桃城。うちの財前が堪忍な。…てことで財前、他校に喧嘩売るんはやめとき。」


「あ、海堂も!ムカつくのは分かるけどコイツにあたんのはやめろ!」


「ムカつく…?」


その言葉にぴくりと耳を動かした財前は、二人に問う。


「さっきからほんまなんやの。海堂は今にも殴りかかってきそうやし、名前さんをだせって、名前さんがなんかしたんか?」


そう聞くと少し冷静さを取り戻した海堂は、ドリンクがすり替えられていてそれは名前のせいだと語り出した。


「いや、それは無いっすわ。」


「財前?」


「俺が部長に言われて様子見に行ったとき、あの人ドリンク作ってましたもん。…まあそのあと倒れましたけど(ボソッ」


「そんな…!」


それを聞いた桃城は呻きをあげる。
そうなると自分たちの信頼している美香が自分でやったことになるからだ。

まあ実際は四天宝寺の好みに合わせて作ったのを美香に取られたのだけど。

そんなことには気付かない二人は、じゃあ…と悩ませた。


「…とにかく、分かったらさっさと自分らのコートに戻ることやな。」


行きましょ、と財前は白石と二人でコートへと入っていった。


「…嘘だろ。」


二人はまだ、コートの外でぽかんと立っていた。








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