短編

□ヒヤシンス
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おいらと君は
恋人同士だった。

彼女との集合場所はいつも
ヒヤシンスがたくさん咲いていた。

秘密でいつ終わりがくるか
分からない恋。

それでもいいと二人で
幸せな時間を過ごしたんだ。

でもその時は来てしまった。


いつものように白百合畑で
待っていると彼女が来た。




血を流しながら。




「!?」

近くに行くと辛そうに笑う君。

「ごめ…んねっ。ハー…レクイン。
私、油断っしちゃっ…た。」

「何言ってるんだよ!すぐ
治すから、頼むから…、おいらを
一人にしないでくれよ!ねぇ!
おいらは、もう君しか好きに
なれないんだ。」

情けなくぼろぼろ泣いているおいら
に血まみれの君ははっきりこう
呟いた。

「ごめんね…もういいのよ…」

「なんで…なんでだよ!」

希望が絶望に変わった。
目の前が真っ暗になり、もう、
何も見えない。

「最後に…一目あなたに…会いた
かったのよ。ハーレクイン。
私もあなたが好き。もうあなた
しか愛せないわ。だからね…
私を…忘れないで…。」

握っていた手が力を無くし
いつも、おいらの名前を呼んだ
唇は言葉を紡がなくなった。

「やだよ…。
やめてくれよ…うわぁぁぁぁぁぁ」

おいらは泣き崩れて
言葉をなくした。

ヒヤシンス

(おいらを好きと)
(言ってくれた君は)
(ヒヤシンスの花言葉ように)
(儚く消え去った)

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