月読む電気石

□再会
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望月が南の空にかかり始めた頃。
太宰は荒れ果てた部屋を肩を落としながら後にした。

織田作との関わりが思っていた以上に深いものだと、先程知ったばかりだった。
しかし、それでいて酒に濡れた薄っぺらい付き合いだったと思い知らされた。


『今夜、月が丁度真上に昇る頃だ。
来るも来ないも、好きにしろ。
…来るのなら、奴と関わりの深い装飾品でも持って来ると良い』


その言葉に従ってと部屋中をひっくり返したのだ。

だが、織田作の存在を証明するものは何もなかった。
酒場で撮った1枚の写真以外は、何一つ。
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