熱情‐PATETICHESKAYA‐

開幕
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 人びとが行き交う街から少し外れた、人通りもあまりない路地裏の一角にある雑居ビルの地下の世界。

 静かな外の世界とは違い、地下の一室には沢山の人々が異様な盛り上がりを見せていた。


 立ち込める紫煙と人びとの熱気でぼやけたライトの光が中央を照らしており、その中央には金網で囲まれたリングとその中に人が2人。

1人はうずくまり

1人は狂喜にも近い歓声を浴びながら、そんな周りの熱とは対照的にぼやけたライトの光を静かに見つめていた―。


――――――――――



『―んなっ!!話が違うだろうが!!!』

「最近はサツが出張ってるからな。客の入りも余り良くねぇんだ悪く思うなよ」


 日の光もささない薄暗い一室には不釣り合いな、豪華な革張りのソファーに身を沈めた男がニヤニヤと笑いながら「ほれ」と封筒を机に投げ出した。

 顔中痣だらけの人間がそれを忌々しい表情で睨みつけつつ、その封筒を取り中身を確認し歯軋りをする。


『これっぽっちじゃ身体がいくらあっても保たねぇ。
あんたの所ではこれ以上やっていけねぇな』


 そう吐き捨てながら部屋を後にしようとすると、男は立ち上がった。


「最近人気があるからって調子に乗ってんじゃねぇぞ?
お前に選択権なんてはじめっからねぇんだよ」


 立ち去ろうとする男の背に向かい忌々しげな視線を送ると、周りに控えていた目つきの悪い男達に目で合図を送った―。


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