ボンゴレの天使
□01.
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「ボス、話があるってスクアーロから聞いたけど...。」
ベルフェゴールとルッスーリアと戦いごっこをしていたためボロボロの格好でザンザスのいる広間へ入っていく。
中は暗く、ザンザスの姿は黒い影になって見えた。
「ネオ、お前に任せたいことがある。」
「ボス、僕は正式なヴァリアーの隊員じゃないし、ボンゴレファミリーでもないんだよ。任せる相手が違うと思うけど...。」
「とか言いながらも任務にひょこひょことついてきて見学やらしてるカスはどこのどいつだ?」
図星...。
「いずれ正式に入隊させてやる。だが今回は未だ存在が明らかになっていないお前がいいんだ。」
「...本部に気づかれてはダメってことなの?」
「ああ。」
まだ未熟な自分にしかできない任務。
そう聞いて心の中ではとっても興奮していた。
でも...。
「話の内容からすると、単独...なんだね。」
「安心しろ。殺しじゃねぇ。監視だ。」
「監視?誰の?」
「沢田綱吉。」
そういうことか。
10代目候補として名が上がっているザンザスや他にそんな名前があったはずだ。
それの監視。
10代目候補ならばザンザス並に強いのではないだろうか。
それに守護者やらなんやらが目を光らせているかもしれない。
「難しい顔すんじゃねぇ。ヴァリアーになるならこんぐらいできねぇと話にならねぇからな。安心しろ。聞く話じゃお前と同い年で普通に学生やってるカスだそうだ。」
「で、その普通の学生さんが何か力を隠していないかとか回りにいる戦力だとかを探って報告しろってこと?」
「ああ。」
難しそうだがヴァリアーじゃそんな任務序の口だろう。
ならばやりとげなければならない。
それに暗殺じゃないだけ気は抜けないとはいえどこか安心している。
「わかった。場所はどこ?」
「日本(ジャッポーネ)だ。留学生ってことでそいつのいる学校に編入届を出してある。」
「...ボス?」
「俺が準備したんじゃねぇ。過保護なルッスーリアがテメェを心配して準備したんだ。ついでに観光でもして楽しめだそうだ。」
可愛がってくれているルッスーリアらしい配慮だと思う。
おかげで任務という感じが少なからずなくなってしまったけど。
きっとルッスーリアなりにネオが緊張しているだろうと気を落ち着かせるためにそんな伝言をザンザスに頼んだのかもしれない。
そう思っていたらルッスーリアとベルフェゴールが沢山の衣類を抱えて部屋に入ってきた。
「ボス〜、ネオちゃんのキャリーバックとお洋服用意しといたわよ〜。」
「しししっ。ネオ、オカマが用意したの洒落たものばっかだから王子のお古あーげるー。」
その山全部服なんだ、なんて内心驚いているとベルフェゴールの抱えた山からマーモンが顔を出した。
「ネオ、キャリーバックに気に入った服好きなだけ積めちゃいなよ。あと学校の制服だけどそれはもうルッスーリアが用意したキャリーバックの中に入ってるから。空港までは護衛を兼ねてレヴィとスクアーロが送ってくれるからさっさと準備して着替えちゃいな。」
「マーモン、お母さんみたい。」
「服の山の中にいたことは突っ込まないんだね。」
「うん、まぁ。」
とりあえずルッスーリアとベルフェゴールが持ってきてくれた服の中から派手すぎないものをちゃっちゃかと積めて、黒い戦闘服らも脱いで積めてしまう。
「ネオ、武器はそっちのルートで送れないから外して。こっちからちゃーんと日本に届けてやるからさ〜。」
へぇ、武器とかは飛行機にのせられないんだ。
これは世間知らずだから知らなかった。
「ピストルと…ダガーとはい、ソード。」
「刃物持ち込み禁止でぇーす。」
「最初からそう言ってよベル兄ちゃん。」
仕方なしにもぞもぞと至るところに隠した小型ナイフをベルフェゴールの手にのせていく。
「うっわぁ〜、どんだけ隠してんの?」
「ベル兄ちゃん程じゃないよ。」
「そりゃそうでしょ、だってオレ王子だしっ。」
あしらったらベルフェゴールはしししっと肩を揺らして笑った。
ルッスーリアからキャリーバックと財布しか入ってない肩掛けのカバンを受け取り、もう一度レヴィとスクアーロを抜いた家族の様に大事な仲間たちを見た。
「いってきます。ボス、みんな。」
「送ってくれてありがとう。レヴィ、スクアーロ。」
目立たないように普段着ないような私服を着て荷物検査の場所まで送ってくれた二人と軽く握手をする。
するとスクアーロはフンッと鼻を鳴らしレヴィは心配そうに頭を撫でてくれた。
「う゛ぉぉい、これをもって行けぇっ!」
スクアーロの相変わらず音量の大きい声と共に渡されたものは腕時計だった。
「腕時計型の無線だ。報告はこれですればいい。」
大音量のスクアーロに代わりレヴィが説明しているのを聞きながら腕時計をつける。
「時間間違ってない?」
「日本の時間に直してある。気をつけていけよ。」
「ありがとう、レヴィ。...あとスクアーロ。」
「あとは余計だぁっ三枚に卸すぞぉぉっ!!」
かっかするスクアーロを無視してレヴィにもう一度頭を撫でられてから荷物をもって一人で奥へと進む。
一人になったのはザンザスに拾われてから初めてだと思う。
いや、何度か留守番で一人になった。
でも、しばらくは本当にひとりぼっちだ。
早く終わらせて帰れる任務だといいな。
任務から帰った初日はザンザスと一緒に寝てもらおう。
嫌な顔されるんだろうな。
で、その次の日はきっとルッスーリアとベルフェゴールが取り合いの喧嘩をしてザンザスを怒らせるんだ。
そんな今日までそばにあった景色を頭の中で広げながらゆっくりと飛行機へと乗り込んだ。
01.end
2014.11.30