カゲロウプロジェクト 私の居場所
□第七話
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「……あの子、今度は私がカノを奪ったってシナリオに書き換えたみたいだね」
「あ……」
話題を逸らそう、と口をついて出たのはそんな事。
「カノは、書き換えられてないの?」
「はい。それだけは、確かです」
エネちゃんが、はっきりとその可能性を否定する。
「吊り目さんは、みなさんの記憶がどう書き換えられたか知らないんですから」
エネちゃんいわく、カノがいない間にほかのみんなの記憶を書き換えたらしい。
誕生日に私とカノが付き合う前から、自分が付き合っていてカノもそれをみんなに話していた、と。
だけど急に別れることになり、あとから私と付き合い始めたことが発覚した、という筋書きだ。
「……じゃあ、何? カノがこっちについているのをあの子はわかってるってこと?」
「おそらくは」
エネちゃんの話を聞きながら、私はぼんやりと意識を手放し始めていた。
体の鈍い痛みが収まらなくて、意識がふわふわしてる。
「ですが、ほかのみなさんにばれると面倒になるからって、吊り目さんは能力にかかったふりをして、ミキさんの能力を解除する方法を探ってます」
「それなら、しばらくはあの子の傍を離れないよね……?」
そしてきっと、あの子が彼を離さない。
このゲーム、もしかしたらあの子の言う通りになってしまうかもしれない。
あの子が勝って全てを手に入れて、私は悪役として何もかも失うのかも。
「ごめん……少し、寝かせて?」
意識が限界に達した私は、そのまま目を閉じて意識を落とした。