カゲロウプロジェクト 私の居場所

□第六話
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 あの後、散歩をし続けるのにも疲れた私はお昼前にアジトの前へと戻ってきた。
 扉を開けるのが、怖くて仕方ない。
 ここに立ち尽くして、何分たっただろうか。

「……よし」



 大丈夫。
 きっと、大丈夫。



 そう言い聞かせて、私は扉を開けた。



 誰も、いない……?



寂しさと安堵感が一緒になって押し寄せる。
 その場に座り込みそうになる体を無理やり動かして、中へ入った。
 瞬間。





バシャァッ!





「っ!!」

思いっきり水がかけられた。
 バケツ一杯、どころの騒ぎじゃない。
 ゆっくりと顔を上げると、



「キド……モモちゃん……」



ただならぬ雰囲気の二人が、空っぽになったバケツを投げつけてきた。
 頭と、背中に。

「っ……」

咄嗟に頭は庇ったし、ただのプラスチックでできてるバケツだから怪我はない。

 が、それよりも。






 心が、痛かった。





「よく帰って来れますね、この裏切り者」

「お前のせいでミキが傷ついてるんだぞ」





 大丈夫。
 きっと、大丈夫。
 カノ達が気づいてくれたんだから。
 みんななら、いつかきっと気づいてくれる。




 そうだよね、カノ。




 私は服の下に下げているペンダントをぎゅっと握りしめて、心の中で問う。

「お前、まだあれを持ってるのか?」

「え……?」

キドの問いの意味を測りかね、私が顔を上げた。





 バチンッ!




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