カゲロウプロジェクト 私の居場所

□第二話
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「はい、どんどん行きますよ! 次は……つなぎさんたちです!」

指名されたセトがマリーを手招きし、薄桃色の紙袋を渡す。
 トコトコと戻ってきたマリーは、

「アカネ、誕生日おめでとう」

「ありがとう、マリー、セト」

紙袋を受け取ってマリーの頭をなで、セトにも笑顔を返した。
 中身は白い花のピンと、白いシュシュ。

「セトと一緒に選んだの。私とお揃いだよ」

そう言って、マリーは綺麗な桃色のピンとシュシュを見せてくれた。

「今度、これつけて一緒にお出かけしよっか」

「うん!」

パァッと顔を輝かせて喜ぶマリーを見て、私も笑顔をこぼす。

「次は……「コノハ、行こう」ってことで、どうぞ!」

コノハの手を引っ張ってやってきたヒビヤは、小さな包みを差し出した。

「趣味合わなかったらごめん……。ヒヨリを参考にしてたから」

「いいよ。ありがとう、ヒビヤくん」

ちょっと照れくさそうなヒビヤ君から、笑顔で包みを受け取る。
 入っていたのは赤いリボンのストラップだった。
 チャームに私の名前が入っている。

「色を選んだのは、コノハだよ」

ぼんやりしているコノハの代わりにヒビヤが言った。

「うん。二人ともありがとう」

「アカネ、おめでとう」

不意にコノハが、私を見て言う。

「うん、ありがとう!」

そして次。

「はい、じゃあ次は妹さんです!」

「はーい!」

元気に立ち上がったモモちゃんは、封筒のような薄い包みを差し出した。

「本当は食べ物にしようと思ったんですけど、お兄ちゃんに怒られたので」

さすがに炭酸入りのお汁粉を出されたらちょっと反応に困る。
 シンタロー君のアドバイスに後でお礼を言っておこう。

「いろいろ考えたんですけど、みなさんとかぶっちゃって……結局、CDにしました」

「CDって、モモちゃんの?」

はい、と頷いたモモちゃんから包みを受け取る。

「ありがとう。前から聞きたいと思ってたんだ」

「ありがとうございます。今度、ライブにも招待しますから!」


それは楽しみだ。
 ステージに立っているモモちゃんはいつだってキラキラしてるから。
 それを間近で見られるんだもん。


「残るは団長さんと吊り目さんですが……団長さん、どうぞ!」
「あぁ」

少し離れた所から私たちを見守っていたキドが、ゆっくり歩いてきた。
 手に持っているのは布っぽい柔らかい質のものらしい。

「誕生日おめでとう。これからも、よろしく頼む」

「ありがとう。こちらこそよろしくね、団長!」

差し出された包みをとくと、中に入っていたのは赤いチェックのエプロンだった。

「お前には料理もよく手伝ってもらってるからな。あのエプロン、かなり長く使ってるだろ?」

キドと一緒にキッチンに立つことの多い私が使っているエプロンは、確かに昔から使ってる。
 やっぱりキドはよく周りを見ているんだな、とそのやさしさに私は笑顔で頷いた。

「うん、ありがとう。明日から使うよ」

「あぁ。今度はケーキでも作ってみるか」

これでまた、明日からキッチンに立つのが楽しみだ。
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