カゲロウプロジェクト 私の居場所

□第一話
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「よし、乾杯!」



みんなもジュースの入ったグラスを掲げて乾杯し、賑やかな食事が始まった。



 キドがおいしそうに食事を食べる皆を見守って、



 セトがマリーの分の食事をとってやって、



 シンタロー君がエネちゃんのために食事の写真を撮って、



 モモちゃんがヒビヤ君に世話を焼いていて、



 コノハはもくもくと食事を食べ続けていて。



「アカネ?」

「ん、何?」

隣から声をかけられてカノの方を見ると、彼は珍しく欺いていない本当の笑顔で笑った。

「誕生日、おめでとう」

「っ……急になに?」

不意打ちの笑顔に顔が赤くなってなければいいけど。

「ちゃんと言えてなかったからさ」

カノはどうやら気づいていないらしくて、すぐに食事へと箸を伸ばす。

「……ありがと」

みんなに言われるのはもちろんうれしい。
 だけど、カノに――修哉に言われるのが一番うれしい。






「大好き」






「え、何か言った?」

この騒ぎの中だから聞こえないと思ったのに。
 カノは意外と近くにいて、首をかしげている。

「なんでもない!」

私は笑顔でそう返して、自分もキドの手料理を一口食べた。



 やっぱり、私の居場所はここ。



 キドがいて、セトがいて、マリーがいて。

 シンタロー君がいて、モモちゃんがいて、ヒビヤ君とコノハもいて。

 そして何より、大好きな修哉がいるこのメカクシ団。


 ずっとこの時間が続きますように。


 みんなで笑いあって、助け合って、過ごせる時間がずっと続きますように。





 ケーキのロウソクを吹き消すとき、私はそんな願い事をした。




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