ミカグラ学園組曲 欠陥品マリオネット 完結

□第七幕
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Side 少女


「凛さん?」


「っ!?」


聞こえた声に、私は閉じた目を見開く。
 寝転がったまま、ゆっくりとドアに目を向ける。
 空耳、だろうか。


「凛さん、いますよね?」


いや、違う。


 彼だ。


 彼の声だ。


「急に押しかけてすみません。でも、どうしても言いたことがあって」



あぁ、そっか。



 文句を言いに来たのか。

 だって彼は、あの場ではほとんど何も言ってない。

 普通は文句の一つも言わなければ気が済まないだろうから。


「言いたことは、二つだけです」


あぁ、待って。



 その言葉がどんなに冷たくても鋭くても、私はそれを受け入れなければならないけれど。



 それでも、君の声で名前を呼んでほしい。



 せめて、それだけは許してもらえないかな。



 君に名前を呼んでもらうのが、大好きだったの。



「まず、俺は貴女があんなことをしたわけじゃないって知ってます」






――え?






 何を、言ってるの?

 どうしてそんなことを伝えに来たの?

 あんな酷い突き放し方をした後で。

 どうしてそんなことを言いに来れるの?


「そのことを知っているのは、俺と代表、あとは先生だけ。カメラに証拠が残っていました」


淡々とした彼の声が、ドア越しに響いてい来る。
 だけど、それは覚悟した冷たいものではなくて。
 ただ淡々と、いつもの通りに、まるで挨拶をするような気軽さで。


「もう一つ、こっちが本題ですが」











――俺と、模擬戦をしてください――










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