暗闇の先に

□15,新たな問題
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「仕事は終わりなの?」


部屋の隅にダンボールを置いてベッドに腰を下ろしたダリルに尋ねる。


「ピートは塀の外に埋めるんだと。

レジの分は半分掘り終えたところで...リックとモーガンがやるって。」


ダリルはそう言うとベッドから立ち、私の腰に手を回してキスをしてくる。


そのキスはすこしだけ雑で...ダリルの苛立ちを感じる。


そう思ったのもつかの間、ダリルは私の唇をこじ開けて私の舌を探した。


「ん...っ...」


ダリルに待ってと言いたかったが、うまく喋れない。


私の漏らした声を気に入ったのかそのキスはさらに激しいものに変わる。


やっとダリルがの舌を解放した頃には、私の身体は火照っていた。


「我慢してたんだ。

そう簡単には満足しねぇぞ⁇」


そう言って私をベッドに座らせたダリル。


「ダリル......その前に話があるの......。」


「ッ......なんだよ⁇」


私の発言に機嫌を悪くしたダリルは小さく舌打ちをした後でそう言った。


「昨日、勝手にタラの手当てをした私にピートが怒って「もしかしてお前...」


そこまで言うとダリルはさらに怒りを募らせたのかベッドから立ち上がった。


「ヤられてはないよ⁉」


私はとっさに彼の足を掴んで引き止める。


「壁に押しやられて何度かぶつけられたの...だから「だからおまえ昨日......まぁいい。」


そう言うとダリルは私の手を振り払い、部屋の扉に向かって歩いた。


「どこ行くの⁇」


「あんだけ傷ついたお前見たその次の日にヤれるかよ。」


そう言い残して出て行ったダリル。


きっと今度こそ愛想尽かされた。



"だからすこし驚くかも"って言いたかっただけなのに。


私は座っていたベッドにそのまま倒れ、天井をボーッと見つめる。


...なんで私は、いつも一番大事な事を伝えられないんだろう。


しばらくそうしていると、廊下をバタバタと歩いてくる音が聞こえた。


「メイ!
あんたダリルと喧嘩でもしたの?

私はてっきり今夜はダリルと過ごすと思ってたんだけど‼」


そう言って部屋に入ってきたのはミショーンだ。


「私もそう思ってたし、彼のしてきたキスもそのつもりのキスだった。」


「ならどうして⁇」


信じられないとでも言うかのような顔で私の顔を覗き込みながら言ったミショーン。


「ほら...なんて言うか、勘違い⁇

一方的に突き放されちゃって、最後まで話も聞いてくれなかった。」


「あんた本当にそれでいいの?

ダリルはアーロンの家に入って行ったから、追いかけておいで。

いい?今夜はアタシがここで寝るから、帰ってきてもメイの寝場所はないよ⁇」


そう言いながら私を部屋から追い出すミショーン。


しかも彼女が扉を閉めた後、ガチャッと音がしたので内側から鍵をかけられたようだ。


一体なぜこんなことになってしまったのだろうか。


私は仕方なくため息をつき、アーロンとエリックの家へと向かった。




《コンコンコン...》


私が玄関の扉をノックするとスウェット姿のアーロンが出てきて扉を開けた。


「こんばんわメイ。」


「あの...こんな時間にごめんなさい。

私......「あいつならガレージだよ。

おいで。」


そう言って私を家の中に入れてくれたアーロン。


「ダリルもさっき戻ってきたとこなんだけど...何だか機嫌が悪くてね。」


そう言うアーロンに私は返事ができないまま付いて行く。


「ガレージでなんだけど、ゆっくりして行くといいよ。」


彼はそう言いながら扉を開ける。


するとそこには幾つもの機材や道具、そして中央に置かれたバイクがある。


そしてその横でしゃがみこんで寝袋を開いているダリルの姿が見える。


ダリルの元に連れてきてくれたアーロンに目で訴えると、彼は気を利かせて何処かに行ってくれた。
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