暗闇の先に
□10,仲間という家族
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行為も終わり、落ち着いてから私をジョーのところまで運ぶと「言葉通り骨抜きにしちまったみたいだな。」と私を見たジョーは言った。
そしてダリルは私の服と一緒に半分のウサギの入った袋も置いていく。
その日、ジョーは私に触れる事は無かった。
理由は翌朝分かった。
私達が出発しようと自動車工場を出ると、そこにはレンの死体があった。
転化しないように頭には矢が刺さっている。
「コイツの持ってたクロスボウ、貰ってもいいか⁇」
ダリルはジョーに尋ねた。
「使える奴は誰も居ねぇ...持っとけ。」
誰も居ない...ね。
元々私の物なのに...。
そしてダリルは自分が使ってる物を手で持ち、私のクロスボウを背負った。
そしてまた、歩いた。
途中、看板を見つけた私達。
そこには《終着駅は全ての人間の為のサンクチュアリ》と書かれていた。
もしかしたらみんなもここに向かっているかもしれない。
ジョーがダリルにある男について話しているとダリルは何かを見つけたらしく「俺のだ。」と言った。
ダリルの目線の先にあったのは野いちごだった。
そして私は足元にチョコバーの袋を見つけたが中身は入っていなかった。
誰かが落としていったのだろう。
ダリルは野いちごを口に入れると酸っぱそうな顔をした。
そりゃそうだろう。
そんなダリルを見てジョーは笑った。
その夜は中々寝床が見つからなかった。
途中、人が入れそうな眠れそうな倉庫があったがそこにはウォーカーが何体も居た。
仕方なく歩いていると空に登る煙をジョーが見つける。
「奴らかもしれない。...行くぞ。」
そう言って私達はその煙の元へと向かう。
奴らっていうのはきっとジョーが探している人たちだろう。
私はその敵との戦いに備える為、ドライバーをポケットから取り出し、袖で隠して持った。
「間違えない、奴らだ。」
そう言った仲間にジョーは「行くぞ。」と言う。
敵をチラリと覗いてみると、そこにいたのはリックとミショーン、そしてカールだった。
...でもジュディスは⁇
なんでジュディスは一緒じゃないのだろう。
私がそう思っている間にもジョーはリックの元へと行った。
そして次の瞬間、彼はリックのこめかみに銃を当てていた。
ミショーンの刀は蹴られ、離れたところに飛ばされ、ミショーンも銃を突きつけられている。
仲間にもあんな事をした連中だ。
本当にリックの頭を撃ち抜くかもしれない。
そんなジョーにダリルは「いい連中だから離してやれ。」と言った。
けど、そんな言葉にジョーが従うはずもなく、ダリルは嘘つきだと言われてしまう。
「ダリルがコイツらと仲間って事はお前も同類って事だよなぁ⁇」
ダリルを殴る仲間を見ながらそう言うジョー。
私は耐えられなくなり、手に持っていたドライバーを握りしめた。
「やめろ‼」
大きな声でそう叫んだダリル。
それは殴り、蹴り続けるジョーの仲間に向けられたものでなく、私に向けられたものだと分かる。
そして車に居たカールが引きずり出され、首元にナイフを当てられた。
「あいつを殺ったのは俺だけのはずだ。」
リックがそう言うと、ジョーは言った。
「まずはダリルを死ぬまで殴る。
んで、その女、その次にそいつ、そして最後にお前だ。」
そう言ってジョーは笑った。
カールを捕らえていた男はカールに向かってひどい言葉を言っている。
「...カールを離せっ‼‼」
リックはそう言ってジョーに頭突きをすると、ジョーはふらついた。
そしてリックとジョーはやりあった。
私はその隙にミショーンの刀を取り、刀を借りてミショーンに銃を突きつけてる男を斬った。
...もう待てない。
我慢も限界だ。
そして私はミショーンに刀を返し、男が持っていた銃を取り、そのままダリルを殴っていた奴らの頭を撃った。
カールの方はミショーンが行ってくれている。
ジョーは...リックが喉を噛み切っていた。
「ダリル...平気⁇」
辺りを見回すとみんな殺したみたいだ。
これで二度目だ...生きた人間を殺すのは。
リックはジョーをメッタ刺しに。
そんなリックを見つめるカールを抱きしめているミショーン。
私はホッとするとその場に座り込んでしまった。
そんな私たちに、ダリルは他の奴らの頭を確認して回る。
少しして私の隣に戻ってきたダリルはジョーのカバンを持っていた。
私から奪ったウエストポーチにナイフ、銃...全てを受け取った。
「ほら、これも。」
そう言ってダリルは私にクロスボウを差し出した。
「...ダリル、血が出てるよ。」
あんだけ殴られ、蹴られたんだ。
血が出るのも不思議じゃない。
私はウエストポーチの中から薬を取り出すと、ダリルの傷口に塗った。
「他は?...お腹とかは大丈夫⁇」
「お前こそ。」
昨日見た内出血の跡の事だろう。
...大丈夫とは言えないけど、強がる事しかできない。