暗闇の先に

□9,見えない敵
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「よし、それぞれ気を付けて物資を探せ。」


グレン、ミショーン、ザックは生活用品。
俺とタイリース、サシャは食べ物。
ボブと私は薬類と担当を分けられていた。

私は注意しながら薬類の陳列棚へ行く。


マギーに妊娠検査薬を頼まれていた私は婦人用品の棚を見て、適当にリュックへと入れた

私もついこの前困ったばかりだし、多く取っといてもいいだろう。

コンドーム、サプリメント、ゴム手袋、消毒液、ガーゼ、テープ、爪切り、ピンセット、マスクなんかも見つかり、必要そうな物は大体揃った。


あとはボブが薬品を揃えてくれれば、私達の仕事はおしまいだ。


「ボブ?」


近くの薬品の陳列付近を捜したがボブは見つからない。

私は他を探すことにした。


「ねぇダリル、ボブ知らない?
薬品の辺にいないから困ってるんだけど...。

あ‼私これ好きなんだ。」


どんな物にかけても美味しい万能なソース。

私はダリルの持っていたバッグにそれを入れた。


「ひとつでいいのか?」


「じゃぁ、もう一つ...」


まさかあのソースが手に入るとは思っていなかった。

そしてその時少し向こう側でもの凄い音が聞こえた。


私とダリルは銃を構えながら音の方に行くと、ボブが陳列台の下敷きになっている。

それもなぜかアルコール類の陳列棚。

沢山のガラスの破片があちこちに散らばっていた。


「怪我は?」


「怪我は平気だが足が挟まってる。」


そしてそこに駆けつけたグレンとサシャ。


「なにがあった⁇」


グレンは聞いた。


「いや、棚が倒れただけだ。
安心してくれ。」


「んなことはいいから、早く助けるぞ。」


そう言ってダリルは棚を持ち上げる動作をした。

私達も直ぐ横を支える。


いつの間にかそこに集合した全員でボブの救出が始まった。
...けど突然、天井からウォーカーが降ってきた。

そして崩れた天井の木片に、ウォーカーの内臓が何かが引っかかり、ゆらゆらと揺れている。

そして屋上には墜落したヘリコプターがあった。


ダリルが懐中電灯を向けると揺れていたウォーカーは唸り声を上げていた。


「今すぐ出て行かないとマズイことになりそうだ。」


グレンはそう言ったがもう遅い。

次の瞬間には雨のようにボトボトとウォーカーが落ちてきた。

そして起き上がってはこっちに襲いかかってくる。


私は銃をナイフに持ち替え、ウォーカーを始末した。

そしてその時、防護スーツを着たグレンが押し倒されているのが目に入り、私は私の銃をグレンの方に蹴る。

目の前にウォーカーがいるせいで私も応戦には行けない。


ウォーカーを倒した反動に尻餅をついてしまい、着いてしまった手にいくつものガラスの破片が刺さった。


「...っ。」


「メイ‼」


そう言って助けてくれたのはさっき助けたグレンだった。

グレンはウォーカーの頭を引っ張り、後ろから頭をひと突きした。


「ありがと。」


怪我のせいで利き腕とは反対でウォーカーを始末しなくちゃいけなくなった私。


「ダリル、ダメだ、もうヘリが落ちてくる‼」


そう言ったグレンを無視し、ダリルは棚を持ち上げたザックのタイミングを見計らいボブの体を引きずり出した。

だけどその瞬間、近付いたウォーカーに足を噛まれたザック。


そしてザックはウォーカーによって倒させられ、次に首筋を噛まれていた。


「ダメだ...行くぞ。」


ダリルはそう言って私の肩を掴み、出口の方へ向かった。


「こんなのって...。

さっきまで話してたザックが...」


「仕方ねぇよ。
...結構でかい音がしたし、早いとこここを離れた方がいい。」


ダリルはそう言って荷物を車の方に積むと、バイクにまたがった。


「メイ、これ、助かったよ。」


そう言って銃を返してくれたグレン。

私は左手で受け取り、ウエストポーチに入れる。


「メイ‼早く乗れ。」


私はダリルに呼ばれ、バイクに乗った。


「ちゃんと捕まれよ。」


私は血がつかないよう、遠慮がちに服の裾を掴んでいたのだが、ダリルに怒られてしまった。

そして前から伸びてきたダリルの手が私の手を掴み、ダリルのお腹の方に強引に引っ張られた。


「メイ、おまえいつ怪我したんだよ...」


まだ血の止まってない手のひらは結構グロテスクなことになっている。


「これぐらい、なんてことないよ。」


そう言ったがダリルはバイクから降り、私も下ろすとミショーンと交代させられた。


「おいボブ、手当してやれ。」


ダリルはそう言って私のリュックとボブのリュックを漁り、見つけたばっかのガーゼや消毒液を後部座席に持ってくる。


「つうかお前、何しに来たんだよ。」


ダリルは車から離れる前、小さな声でボブに呟いていた。

しばらくしてダリルが出たのを合図にグレンは車を走らせた。


「いった‼‼」


ガラスを抜いてくれるボブ。


こんなことも二度目。

CDCでソフィアを庇った時なんかはもっとひどかった。


けど、今はソフィアもあの時手当してくれたアンドレアもいない。

まだここにいるのは、リックにカール、グレン、キャロル...そしてダリルだけ。

...たった、それだけなんだ。


包帯を巻く前に、ウエストポーチに入れっぱなしだった、CDCからくすねた軟膏を塗ってもらう。


「いい薬もってんじゃん。」


そう言ってまじまじとみるボブ。


「前にダリルがくれたやつ。」


そう言って彼の手から薬を奪い取ると、ウエストポーチの中に戻した。
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