暗闇の先に

□6,再会
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「少しみんなで外を歩こうか。」


そう言ってリックは私達を外へと連れ出す。


「カールの小さい頃にそっくりだ。」


リックは明るい太陽の下でもう一度赤ちゃんの顔を見るとそう言った。

そして、それを聞いたカールは心からの笑顔を見せた。

私達がどれだけカールを慰めようとしても出なかったあの顔。

私達にも自然と微笑みがこぼれる。


「...カール、少し見ててくれるか⁇」


少しすると突然そう言ってカールに赤ちゃんを預ける。

...そしてリックの進む方には1人の女性がいた。


リックはフェンス越しに彼女と何かを話していたようだ。

どうやら彼女は足を怪我しているみたい。


「ベス...ちょっとごめん。」


しばらく話す間に周りに居たウォーカーに狙われた彼女を見たカールはそう言い、赤ちゃんをベスに預けるとリックの方に走って行ってしまった。


「ちょっとカールっ‼」


そして私も走って追いかける。
どうやら足はだいぶ良くなったみたい。


そしてカールは彼女を襲っていたウォーカーに向かって引き金を引いた。


「パパッ‼
彼女を助けなきゃ‼」


そういうカールにリックは彼女を助けるためにフェンスの外へ出た。


そして彼女を運び出し、棟の中に入れる。
彼女は何故か物資の入ったカゴを持っていた。


「メイ、彼女の傷を見てやってくれ。」


リックはそう言いながら彼女の傷口の辺りに水をかけると、それとほぼ同時に彼女は意識を戻した。


「名前は⁇」


リックの問いに彼女は答えることもなく、視界に入った日本刀を手に取ろうとしたが、リックによってそれは阻止された。


「ここは安全なんだ。
外へ出るまで預からせてもらう。
...それと、念の為...な。」


そう言ってリックは彼女に手錠をかけた。


「手錠はやりすぎじゃないの⁇」


私はそう言ったがリックは聞こうとしなかった。


「みんな、見て欲しいもんがある。」


手当をしようと思った時、声をかけてきたのはそれまで居なかったダリルだった。


「ん⁇」


そして案内された独房の一室について行くと、そこにはウォーカーにやられたと思っていたキャロルが居た。


「独房の中で隠れてたんだ。
脱水症状で衰弱してた。」


リックとキャロルがハグし合う仲でダリルはリックに説明をした。

そしてベスが連れてきた赤ちゃんを見ると、キャロルは何があったか察したみたいでリックに謝っていた。




「手当をしてもいいかしら⁇」


私は片手に消毒液やガーゼの入った袋を抱え、彼女にそう言って近づく。

きっと彼女は警戒心が強いのだろう。


「もし、他人の手当なんかを受けたくないなら私は何もしない。...どう⁇」


もし、私が逆の立場なら他人の手当てなんて受けれないだろう。


「...あんたなら信用できる。」


私はその言葉を聞き、彼女の手当を進める。


「こんなところでごめんなさいね。
こっちには弱い人間もいるから柵が必要なの。」


消毒をしてガーゼをつけ終えた時、彼女にそう言った。


「グレンとマギーはあんたらの仲間⁇」


そして彼女の口からはグレンとマギーの名前が出てきた。


「そうだけど...。」


「連れて行かれたわ。」


私はその言葉を聞き、私はリックを呼んだ。





どうやら彼女の名前はミショーンと言って、最近とある壁のある町に連れて行かれたが、何かが怪しくて逃げてきた。

そこでは"総督"という男が仕切っていて彼女の仲間もまだそこにいるみたい。

逃げてきたミショーンを追いかけてきた男にマギーとグレンは捕まったらしい。


それから私達は2人を救出する作戦を練った。

メンバーは彼女とリックとダリル、私、囚人の1人だ。

私はクロスボウを背負い、銃を持ち、車に乗りこむ。


町に向かう車内でリックは赤ちゃんの名前が決まったと報告した。

どうやら出発前にカールと話してたみたいで、子供の名前はジュディスと名付けられた。


「あんまり車で近くまで行くとバレるから、この辺りの方が良いわ。」


そう言うミショーンに、私達は車を降り、森を歩くことにした。

しばらく歩いていると、大量のウォーカーが移動していることに気がついた。

どう考えても戦える人数ではない。

そして周囲を見回すと、一軒の小屋があった。


中にウォーカーが居たとしても、戦える人数だろう。

私達はウォーカーから身を隠すように小屋の中へと入った。


「誰だっ‼今すぐ出て行け‼」


真っ暗の小屋の中の奥の方から男の人の声が聞こえると、暗闇から銃撃された。

音にウォーカーも反応したのか、壁越しにウォーカーのうめき声が聞こえる。

そして彼は私たちの方へと走ってきた。
...が、ミショーンは彼に向かって日本刀を振りかざした。


「あっ...!!」


私は目の前で起きた出来事につい言葉を漏らしてしまったが、ここにいる誰もが彼女の行動に驚いているみたいだ。

...それから私達は彼を玄関の外へ出し、ウォーカーが気を取られている間に裏口からコソリと抜け出した。

私達は再び森の中を歩き続け、壁に囲まれた町、ウッドベリーに到着したが、町の警備は頑丈そうだ。


しばらくしてミショーンが隊列から抜けたと思うと、戻ってきて私達を抜け道に案内してくれた。

抜け道から町に入ると、その抜け道は町のとある家の中へと続いているみたいで、家には薬の瓶などが置かれている。

そして救出方法について話をしていると突然、鍵を開ける音が聞こえ、町の住人が家の中に入ってきた。

私達は急いで部屋の奥にあるバスタブに身を隠す。

そしてどんどん近づいてくる男に、リックは飛びかかり、脅し、彼を拘束させた。

拘束している途中、突然町中に銃声が鳴り響き、町は騒然とする。

リックが窓から覗いてみるとどうやら私達にとってのチャンスのようだ。

それから私達は騒ぎに溶け込み、二人が捕まっているであろう拷問部屋へと辿り着いた。

二人の居場所を確認してタイミングを見計らい、催涙弾を投げる。

そして2人の手を取り、救出させた。

相手が咳き込んでいる間に私達は拷問部屋から逃げると、近くにあった家の中へと逃げ込む。

外ではさっき拘束した男が外に出てきたみたいで、騒ぎになっている。

それにしてもさっきの家もこの家も...この町は住んでいる人たちも困っている様子はなさそうだ。

家に入ってグレンとマギーに話を聞くと、拷問の末に刑務所の事を話してしまい、どうやら敵の中にはメルルというダリルのお兄さんがいるらしい。

そして私達のそばにミショーンがいないことにも気付かされた。

そんな中、脱出に向けて動いたリックを止めたのはダリルだった。


「兄貴と話がしたい、兄貴を見つけるんだ‼」


「まずは脱出だ。
...脱出にはお前が必要なんだ‼」


そう説得するリックに、ダリルは頷いた。


「...ダリル?お兄さんは、また探しに来ましょう⁇」


落胆した表情を見せるダリルに私はそう言う。

リックの決定ならば仕方がない。
...それにミショーンが居ない今、ダリルにまで抜けられたら私達はこの町から抜け出せないだろう。

そしてダリルは了承し、リックの持っていた催涙弾をいくつか手に取った。

催涙弾から煙が立ち、ある程度周囲が見渡せなくなったところで私達は壁に向けて走り出す。

そして壁の見張りをしている人たちに向かって引き金を何度も引いた。

少しずつ進み、身を隠せそうところにたどり着くと、私達は銃弾を補充した。


そして残り一つの催涙弾を投げ、壁を越えるために車によじ登ることに。

怪我をしているグレンを一番に逃がすため、私も銃撃戦に参加する。

互いの存在が見えにくい中、銃を撃ち続けているとこちらに向かってくる人がいた。
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