暗闇の先に

□5,狂った世界
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それから夜はみんなで火を囲んだ。

リックは何度も何度も見回り、フェンスに穴がないかを調べている


「メイ、ナイフ研いでやろうか?」


私とダリルはみんなとは少し離れたところで休むことにした。


「うん。ありがと。」


そう言って私は腰につけていたナイフをダリルに渡した。


ベスとマギーは歌い、ダリルは横で私のナイフを研いでいる。

...まるで農場にいた頃のよう。

すごくホッとする。






翌朝、リックは中に入って医務室や食料庫、武器庫を探そうと言った。

きっとローリの為だろう...。


けど、刑務所なら塀もきっちりしてあって安全だと思う。


脱獄できないように作られてるんだ。

ウォーカーの脳みそで進入できるわけが無い。


「俺、ダリル、メイ、グレン、マギー、Tドックの並びで行くぞ。」


リックの呼びかけに私達は整列して奥へと進む。

が、少し進むと私服を着たウォーカー達を見つけた。
刑務所内のウォーカーじゃないはずだ。

...きっとどこか外から来たウォーカーだ。

そしてダリルとリックは1度フェンスを閉じた。


...リックが一生懸命考えていると今度は防護服を着たウォーカーが何体もこちらの方にやってくる。


私は背中に背負っていた弓矢を放ったが、防護服の上からじゃ全く意味がない。

弓矢を飛ばした私に気がついたのかウォーカーが私の方に歩いて来た。

私はただ、マチェーテを振り回すしかできなかった。


「メイ‼」


どうしようもできず困っているとダリルが来て、ウォーカーを殴り倒して防護服のヘルメット部分を思い切りふんずけた。


「気をつけろ。
武器は効かねぇ。」


ダリルがそう言った直後、マギーがウォーカーのヘルメットをずらし、喉付近から脳幹にグサリとナイフを刺す。


「...見た?」


倒した本人が一番驚きながら言った。


...それから私達はどんどんとウォーカーを倒し、リックが鍵を見つけ、安全な独房を手に入れた。


「俺は檻なんかには入んねぇぞ。」


みんながベッドを確保する中、ダリルは二階の階段を登ってすぐのスペースに布団を敷く。


「そんなところじゃゆっくり出来ないよ?」


私はそう言って、ダリルのすぐ近くのベッドに腰掛けた。


「自分から檻に入るのかよ。」


こんな事を言っててもそれはきっと、ウォーカーが来たらいち早く気づく為なのだろう。

それから私達は1日、久しぶりに心からリラックスして過ごしことができた。



次の日の朝、私が一階に行くと男達の姿は見えない。


「他のみんなは⁇」


近くに居たマギーに聞くと、どうやら武器を探しに行ったらしい。


「私は寝坊したってこと⁇」


冗談交じりにそう言うとマギーは笑っていた。


そして通り道に置きっ放しのダリルの布団を邪魔にならない所に畳む。


「武器を見つけた!!
ライフル、催涙スプレー、ショットガン...それに防護服も何着か。
弾の数は少ないが節約して使えば問題ない。
残りを運ぶ間、メイとマギーは弾が俺たちの銃で使えるか確認してくれ。」


そして私とマギーは銃弾の確認をする。

幸い銃弾は私たちの銃で使えるもののようだ。

しばらくしてダリルとグレンとTドックは熱湯消毒させた防護服を持ってきた。


「次は食料庫と救護室だ。
メイとマギー、ウォーカーが食料庫と救護室の方に何体か居るんだ...手伝ってくれないか?」


リックの言葉に、私とマギーは頷いた。


「リック、わしも行こう。
必要な物を見極めたい。」


「ちょっと父さん‼」


ハーシェルの発言にマギーは反論したが、結局ハーシェルも付いてくることになった。

そして私達は隊列を組み、少しずつ廊下を進む。


「まるで地獄ね。」


薄暗い廊下にあるのは横たわった死体ばかり。


「止まれ‼
ウォーカーだ。戻れ戻れ‼」


リックの指示に私達は来た道を必死で引き返す。

廊下の突き当たりまで行ってドアを閉めると、グレンとマギーが来ていなかった。

きっとどこかではぐれたんだろう。

少し経ってドアを開けてウォーカーがいないのを確認し、私達は2人の捜索を始める。


そして少し経つと、突然悲鳴が聞こえた。

だけど声の主は私達の探していたマギーでもグレンでもなく...ハーシェルの声だ。
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