暗闇の先に

□4,混乱
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「ダリル‼
あっちの方、ライトが光ってない?」


私は木々の中に光を見つけた。


こんな森の中、どっちに進めばいいのかもわからない。

...あの光は仲間の誰かなのかもしれない。


「あぁ。
...付いて行ってみるか。」


それから私達は、車のライトを追いかけ、一晩中森の中を走り続ける。


暗闇をただ走り続けた。

まるでこの世界に生きている今の私達のように。

この進路が正しいかなんてわからない。
...ただ、唯一の希望のある道を進むことしかできない私達。


私達と言っても今じゃみんなバラバラで助かったかどうかもわからない。


...確かなのはダリルの背中がすごく暖かくて頼りになるって事だけ。

この世界になってから確かなものは、ほんの僅かになってしまった。

何もかも最低な今の世界で信じられるのは自分の目に見えるものだけ。


「ダリル、ありがとう。」


私はダリルに聞こえないような声で呟いた。



夜が明けた頃にやっと辿り着いたのはあの日、群れに出会ってソフィアを探しまくったハイウェイだった。

一番に着いていたのはリックにカール、キャロル、ハーシェル。

そして追いかけていた車から降りてきたのはマギーとグレン。

最後に到着したTドックの車にはローリとベスが乗っていた。


ローリはカールとの再会を心から喜んだ。


再会できた人も居るし、逆に居なくなった人も居る。

ジミーにパトリシアにアンドレア...そしてシェーン。


シェーンは最初から怪しいと思ってた。
...けど、他の3人は凄く残念だ。

キャンピングカーも無くなり、私達のテントも無い。

私達は仲間それぞれの安否を確認し合い、寝床を探すために移動した。


そして結局、仮の寝床も決まらないまま車がガス欠になり、野宿する事になった。


「飲み物や食べ物が必要よ。」


私はダリルに言う。


「調達に行くか?」


ダリルはそう言って私に笑顔を見せた。


「ダメだ‼
誰もここを離れるな‼」


会話を聞いていたリックが私に大声をあげる。


「リック?
でも、何か食べないと...「ダメだ‼」


私はリックの勢いに負け、それ以上発言するのをやめた。


...なんとなくだけどお父さんみたいで。

怒鳴られて恐怖を思い出した。


私は離れたところに移動しリックと距離をとる。


...それからリックはみんなに怒鳴り散らして「グループを出て行く者は出て行け。出て行かないなら俺に従え。」と言っていた。



「メイ、お前はあっちでみんなと休めよ。」


暫くしてリックもみんなも落ち着いた頃、声をかけてきたのはダリルだった。


「リックの態度に...あそこにいるのは気まずくて。

暴言吐いて俺に従えなんて...。」


ダリルは私の言葉にウンウンと頷き、横に座る。


「リックは少しおかしくなってるんだ。...分かるだろ⁇

お前の親父さんとは違うさ。」


少ししてダリルはそう言う。


「だけど...「ま、向こうに行くのがどうしても無理だって言うならせめて、俺の側だけは離れるな⁇」


ダリルはそう言って一晩中、私の側に居てくれた。
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