暗闇の先に

□3,生きる意味
7ページ/8ページ


「心配させないでよ。
死んだかと思ったじゃない...。」


手当てを終えてハーシェルが部屋から出て行くと、ダリルの横に座って言う。


「ほっとけ。」


「人がせっかく心配してるのに!」


私はダリルの態度に怒鳴ってしまった。

心配させておいてほっとけなんて...。


そしてそんな私の言葉のせいで会話は止まってしまう。


「...怒鳴ってごめん。
...けど、1人の時は危ない事はしないで⁇」


確かに怒鳴るのは違ったかもしれない。
...けど、こんなにボロボロになって帰って来たら私も怒鳴りたくもなる。


「お前もな。」


「私は別に...。」


私がいつ危険な事をした⁇


「1人でテントで寝てたりCDCでソフィアを庇ったり、この前だってお前フラフラだったじゃねぇかよ。
その度に俺はなぁ...「ごめん。」


ダリルの言葉を聞いて、もし私がダリルの立場だったらって考えてしまった。


今までずっと私なんてって思っていたけれど、どうやらダリルにとってはそうじゃないらしい。


……私が彼のことを心配に思うように、彼も私のことを思ってくれているのだろう。


「次からは気を付ける。」


私はただ反省するしかなかった。


その後ダリルが布団をかぶったので私は部屋を出る。


「ゆっくり休んでね。」


私がリビングの方へ行くと、ダリルの様子を心配したリックが私の方をジッと見る。


「少し眠るみたい。」私はリックに伝える。


「メイ、本当にごめんなさい。
あたし...「本当よ!
銃を持つならちゃんと標的を見なさいよ!
さっき"次は命中させろ"なんて言ってたけどそんな軽い問題じゃないわ⁇
そんなんだったら見張りなんてしないで!」


「そんな事はわかってる!
...けど、何もしていない貴方に見張りをするななんて言われる筋合いはない!!」


私の言葉にアンドレアは反論した。


「私は体調を整えてたからよ。
明日からは捜索を手伝うつもりだったしその言い方はどうなの⁇逆ギレしないでくれる⁇」


「うるせぇよ!終わった事をウダウダ言うんじねぇ!
ゆっくり休ませろ。」


私達の会話を止めたのは部屋のドアからひょこりと顔を出したダリルだ。


すぐ隣の部屋だもんな。

...口論してたら聞こえるか。


「ごめんダリル...もうやめるからベッドに戻って⁇」


私はダリルをベッドに戻す為にもう一度部屋に戻った。


「お前、今日1人で寝るのか⁇」


いつもはダリルのテントを使わせて貰ってる私。

きっと心配してるのだろう。


「ん〜...キャンピングカーで寝るよ。」


心配をさせないようにそう言うとダリルは頷いてベッドに座った。


「ほら、布団かけてあげる。」


「自分でやる。」


ダリルはそう言って横になると私が持ちかけていた布団を取り、再び横になる。

本っ当に素直じゃないんだから…。


そして私はそっと部屋を出た。


「ハーシェル、私はキャンピングカーに戻るからダリルをお願い。」


私はハーシェルに一言だけ挨拶をしてキャンピングカーへ行き、前方にあるソファで寝ることにした。

奥のベッドはキャロルとアンドレアが使っている。


あれだけ怒鳴り合った後だし...少し気まずい。





翌朝、思っていた通り私の体はバキバキだった。


「メイ、昨日はここで寝たの⁇」


「まぁね。」


声をかけて来たのはキャロルだ。


「私、ダリルの具合見てくるね。」


キャロルとは少し気まずい。

ソフィアが居なくなってから、どう関わっていいのか分からなくなってしまった。


ダリルは昨日よりはマシみたい。

巻いていた包帯を外して出血を確認してみると血は止まっているようだった。


「もう1日ぐらい安静にした方がいいわ。」


ダリルは私のその言葉につまんなそうに「はいよ。」と返事をする。


そしてハーシェルの家を出るとグレンを探して声をかけた。


「もう清潔な包帯がないの。
...あとで薬局に連れて行ってくれない⁇」


グレンは前にマギーと薬局に行ったはずだ。


「良いけど、午前中は銃の講習があるみたいだ。
...君は不参加⁇」


「ん〜...使い方ぐらいは知っておきたいわ。」


あぁ…銃の使い方を知っておくべきだ、なんて言ってたっけ。


「じゃあ帰ってきたら出発しよう。」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ