暗闇の先に

□2,強くなろうとするほどに
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「ねぇ、ダリルを見なかった⁇」


私は見回りをしていたデールに尋ねる。

埋葬式の間、ダリルは居なかった。


「...物資を探しに行くと出かけたが…まだ帰ってないのか?」


また勝手に行っちゃって...。

ここの人たちもダリルが一人で狩りへ行くことに関しては心配していないみたいだし…。


そして私は夕食の準備を手伝いに女性達の所へ行った。


お豆のスープを作るために沢山お豆の殻を剥く。
...そしてシェーンが取ってきた水を煮沸させる。


「そろそろ食べましょう。」


日が沈みかけた頃、キャロルがそう言った。


「...私、ジムに食べさせてから食べるから先に食べてて⁇」


私はそう言って、お豆のスープを持ってキャンピングカーの中へと行く

なんでこんなにジムに入れ込んでるんだろうか...自分でも不思議だ。


「ジム、起きれる⁇」


私は少し大きいお豆は潰し、口に入れやすいようにしてからジムの口へ入れる。


結局、ジムは3口ほどしか食べれなかった。


「ねぇジム、きっとあなたはウォーカーにならないわ。」


何を根拠に言ったのか分からないが気づくと私はそう言ってた。
...ジムはただ頷いた。


「メイ、ちょっと来いよ。」


ジムと話をしていると私は突然呼ばれた。

...声の主はダリル。
しかもダリルの服にはウォーカーの血がついている。


「何処に行ってたのよ‼
勝手に居なくなって...心配するじゃない‼‼」


私はついダリルに怒鳴ってしまった。


「悪りぃ。...けど、どうしてもメイに見て欲しいもんがある。
ジム、いいか⁇」


ダリルはジムに視線を向けると、ジムはウンウンと言うように頷いた。

そして連れて来られたのはダリルの車。

助手席には私があの家に置いてきたキャリーバッグと家にあった食料やナイフが積まれていた。


「嘘でしょ?...戻ったの⁇」


私は涙が溢れた。


「約束だったんだろ⁇
でも...誰も居なかった。」


ダリルは私に申し訳なさそうに言った。


「1人で行くなんて...馬鹿じゃないの...⁇」


私は泣きながらその場にしゃがみ込んだ。


「あぁ、俺は馬鹿だ。」


そう言って私の頬の涙を拭ってくれるダリル。


「...ダリルの大馬鹿‼
でも...ありがとう...。」


そう言いながら私はダリルに抱きついた。

私の泣き声を聞いて、リックやシェーンが心配して見に来たのが分かったが私はそのまま泣き続けた。


翌朝、リックがCDCへ出発すると言った。

昨日のうちに同行するか考えるように言っていたらしいが、ダリルの車で泣き疲れて寝てしまった私は急な決断を迫られた。

...けど、私はもう1人になる理由はない。
ジムにも言われたし、ダリルが命懸けで家まで確認しに行ってくれたんだ。


「ねぇ、助手席に乗ってもいい⁇」


私はダリルに言った。


「...勝手にしろ。」


ダリルはそう呟くと荷造りに行ってしまう。

私はキャリーバッグに入れていたウエストポーチに水とタオルを入れて、キャリーバッグはキャンピングカーに積んでもらった。

足元にはリュックとダリルからもらったクロスボウとダリルのクロスボウを置く。

そして出発した。


「本当にクロスボウ貰っちゃっていいの⁇」


「お前の腕は良い。
...それに誕生日だったんだろ⁇
プレゼントだ。」


そう言うダリルに私は笑顔になった。


「自慢じゃないけど私は弓道じゃ県で一位だったんだから。」


「...県⁇」


ダリルは聞き返した。


「あぁ...日本で言う州みたいなもの。
日本に住んでたから...さ。
あ‼それより弓道って分かる⁇」


「さぁな。
俺は大馬鹿だから。」


ダリルはそう笑いながら言った。


「じゃぁ大馬鹿にも分かるように説明してあげる。」


道中、私はずっとダリルと話していた。
...そしてママのことが恋しくなる。

弓道とは切っても切り離せないママ。


「メイ⁇」


急に黙った私にダリルは心配そうに声をかけてくれる。


「なんでもない。
...ただ、ママ達のことを思い出しただけ。」


私がそう言うとダリルは黙ったまま、話を聞いてくれた。
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