暗闇の先に
□17,暗闇の先の光
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スコットが眠った後、私は診療所に居ないデニスを探しに行った。
彼女の家を覗いてみてもデニスは居ない...。
だがその代わりに診療所の外ではいろんなものが目に入った。
ロジータが住人にナイフの使い方を教える姿や先ほどの計画書らしきものを見るミショーン。
そして見張り台からジッと壁の向こうを見るマギー。
私はこんなことでいいのだろうか...。
そんなことを考えながらポーチに腰を下ろしていると、空を舞うグリーンの風船が目に入る。
あれはもしかして......
グレンが持っていた風船ではないのだろうか。
だとすれば私達はグレンを探しに行くべきだ。
だけど今この街はウォーカーに囲まれてるし...。
その時、マギーが走って行く姿が見え、私も彼女を追った。
「リック‼グレンよ‼‼」
彼女のその言葉にリックやマギー、その場にいた多くの人が笑顔を見せる。
もちろん私も例外ではない。
だがその直後...大きな音を立てながら見張り台が崩れはじめ、最後には壁を破壊して倒れてきた。
「家に入るんだ!」
とっさの出来事に開いた口が塞がらないでいると、リックはそう叫んだ。
せっかく希望が見えたというのになぜこう、一瞬で打ち消されてしまうのだろう。
私達はそれぞれその場から離れて家に向かうが、マギーがこちらへ来ていないのに気が付き、マギーを探した。
彼女がウォーカーに追われながらも見張り台に向かう姿を捉えた私は、彼女に迫るウォーカーに向けて銃を発砲して彼女の援護をする。
「メイ‼急いで‼‼」
カールにそう言われながらも彼女の援護をし続けていたが、最後には手を取られてジェシーの家へと逃げ込んだ。
ディアナは足を怪我したらしく、リックが支えながらベッドへと下ろした。
玄関から入ろうとするウォーカーのバリケードを作るためにリックはリビングへと行ったが、私は彼女の手当てをするので手一杯だ。
「メイ...私に手当ては必要ないわ。」
誰もいなくなり、2人になるとそう言った彼女。
「ディアナもしかして......」
私がそう尋ねると彼女は服をまくり、噛まれた跡を見せた。
よりによってお腹だなんて。
噛まれてたのが足だったなら、どうにか助けることが出来たかもしれないのに...。
「......なにか私にできることは⁇」
私は彼女に尋ねる。
「時間はどのくらい⁇」
私に問う彼女。
「あ〜......えっと...」
答えるかどうか迷ったが彼女の目を見ると、答えるしかできない。
私は髪の毛を書き上げ、正直に答えた。
「人それぞれよ...熱が出て、身体が痛み、徐々に転化する。」
「ありがとう。
紙とペンは無いかしら... スペンサーに手紙を残したいわ。」
私は辺りを見回して紙とペン、さらに台になりそうなものを渡す。
「容態は?」
リックが部屋に入って来て私とディアナに言う。
「地獄の痛みだわ。」
「リック...でも脚よりも一番重要なのは...」
私はそう言って彼女のお腹の傷を見せた。
「もう熱も出てるの。」
「まったくよ、クソ。」
ディアナの言葉とは思えない発言をし彼女はリックの方を見る。
その時、ガレージの方から物音が聞こえ、私達はみんなガレージに続くリビングへと向かう。
「まってメイ...
僕らは怪物になるの⁇」
ガレージに行く途中、不安に溢れた表情で私にそう問うサム。
「怪物にはならないわ。」
「でも父さんは怪物だったから死んだんでしょ⁇」
そう言った彼。
「聞いてサム......私のお父さんの中にも、ピートと同じように怪物が居たの。
怪物はルールを守れないけど、コミュニティで暮らすにはルールを守らなきゃいけない。わかる⁇」
私の言葉を頷きながら一生懸命聞いてくれるサム。
「あなたがちゃんとルールを守れば大丈夫よ。」
今のサムが楽になる唯一の方法を知っている。
……だけど彼に”感情のスイッチ”を切ることを教えてしまえば、きっと私は後悔するだろう。
「メイ、ちょっとこっちに来てくれ。」
そう言われ、私はサムを置いてリックの方へと行く。
「いいか?このシーツをかぶって...シーツにウォーカーの内臓を擦り付けるんだ。」
私がリックの元へ行くと、彼はちょうどみんなにそう説明をしていた。
信じられない。
...自らウォーカーの鎧を着るだなんて。