暗闇の先に
□15,新たな問題
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「それで?いつ戻ったんだ⁇」
あれから私を解放すると再び穴を掘り始めたダリル。
私はそんなダリルのすぐそばで、大きめの石に座って作業をするダリルと話をした。
「ほら、リックとピートが殴り合った時。
あの時のピートが...父の最後と重なったの......それで私が父をどうしたのか、なぜ記憶をなくしてあの病院に居たのか全部思い出した。」
ただ黙って話を聞いてくれるダリル。
「とにかく...本当にごめんなさい。」
「謝るなよ。」
そう言ったダリルに私は誤魔化すように笑顔を作ってみせた。
「それで...なんで記憶をなくしたんだ?」
地面にスコップを思い切りを刺すとそのスコップにもたれかかるようにして私の瞳を捉えながら聞いたダリル。
どうやら誤魔化しは効かなさそう。
「中々帰ってこない貴方を探しに行って...「俺を?
俺の為に記憶をなくしたってのか⁇」
だんだん声を荒げるダリル。
きっと怒っているのだろう。
「ちゃんと最後まで聞いて⁈
狩りがてら辺りを回ってただけ...それでウォーカー数体と出くわして、倒したんだけど躓いて足を怪我しちゃって。
日が暮れる前に引き返すつもりだったんだけど、足に包帯巻いてたら急に頭を殴られた。
あの病院は人を手当てするだけじゃなく、若くて働きそうな人間を選んで連れて行ってたのよ。」
全て話し終えた私はダリルをジッと見た。
「頼むから、もう問題には巻き込まれないでくれ。」
「でも、記憶をなくしたからこそ得たものもあった。」
そう言うと、ダリルはキョトンとしたような表情を見せる。
「ほら、あなたが優しい人だって再確認できた。」
「別に優しくなんかしてねぇよ。」
ブツブツと小さな声で言ったダリル。
「そう?私にはあなたの優しさが充分伝わったけど⁇」
そう言ったせいか、少し照れた彼は地面からスコップを抜いて作業を再開させた。
私はタラの様子を見るために家へと向かう。
そしてその途中でリックとミショーン、そして例の男にすれ違った。
「メイ、回復したんだってな。
おめでとう。」
そう笑顔で言ったリック。
「えぇ、あなたのおかげ...どうもありがとう。
それと...ごめんなさい。
私、記憶をなくしたとはいえみんなに酷い態度を取ってたわ。」
「気にするな、家族だろ⁇」
リックはそう言って私を抱き寄せ、ハグをしてきた。
正直私も戸惑ってしまったが、彼のハグを受け入れることにした。
「そうだメイ、彼はモーガン。
俺がまだキャンプに加わる前、病院で目覚めた後、彼にお世話になったんだ。」
リックは私とのハグを解くと、隣にいる男性を紹介した。
「こんばんわ。」
リックの紹介が終わった時、手を出してきた彼と握手をして挨拶を交わした。
「私、タラの様子が気になってて。
彼女が寝てしまう前に様子を見たくて。」
私はそう言ってリックとミショーン、モーガンと順番に目を合わせ、家の方に向かった。
「タラ!調子はどう⁇」
私がタラの寝室に入ると彼女はベッドで横になっていた。
「少し頭痛がするけど大したことじゃないわ。」
彼女はそう言った。
「そう...痛みが酷いようならいつでも言ってね?薬を出すから。」
私のその言葉にタラはゆっくり頷く。
まだしんどそうだけどタラはもう大丈夫そうだ。
「それと明日...傷口を消毒してガーゼを変えるから診療所に「メイ!」
そしてその時、一階の方から私を呼ぶ声が聞こえた。
「呼ばれてるわよ⁇」
すこし笑いながらそう言ったタラ。
「さっきまで外で一緒に話してたのに。
まぁ、元気そうでよかった。
今夜はゆっくり休んで。」
そう言ってタラの部屋から出て一階へと向かう。
一体なんだと言うのだろうか。
「どうかしたの⁇」
私が玄関に続くリビングに顔を出すとダリルはダンボールをひとつ抱えていた。
「お前の部屋は⁇」
「こっちだけど、昨日来なかったの⁇」
「聞きそびれたからな...心配すんな。
アーロンとエリックんとこのガレージに居た。
あいつ等、バイクの材料持ってて。
いま組み立ててんだ。」
嬉しそうに言ったダリル。
それからダリルを私の部屋に案内した。