暗闇の先に

□8,大切な人
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刑務所に戻り、私達は新しい住民の為に他の独房棟を一掃する。

そしてカール、ベス、ハーシェルに町から持って来た荷物の仕分けを頼んだ。


独房棟を1棟と小さな部屋を3部屋あけた。

ひとつは図書室、ひとつは倉庫、そしてあとひとつは会議室だ。

きっとこれから、多くの住民を率いていくには会議が必要になるだろう。

リック、ダリル、グレン、ハーシェル、マギー、キャロルと私で委員会を発足した。

委員のはじめの仕事は連れてきた住民の確認と、調理や見張り、見回りを分担させることだった。


...が、私とハーシェル、ボブ、ドクターは私達の棟に作った医務室の物資の整理に追われていた。


「ねぇ...包帯と消毒液、鎮痛剤とかの
応急手当に使えそうな物を少しウェストポーチに入れておいてもいいかな⁇」


私の提案に3人は頷いてくれた。


「ありがと。」


そして私達はダンボールの山をひとつひとつ片付ける。


「...あぁ、メイ、これもそこに入れておくべきだ。」


そう言いながらハーシェルはそっと検査薬を渡してくれた。


「...それって、君のだったの⁇」


その光景を見ていたボブ。


「...まぁ、ね。」


私はそういって検査薬をウェストポーチに入れた。


「ハーシェル‼

ヒロシから総督が豚を育て、野菜も育ててたって聞いたんだ。

ここに持って来れないか、一緒に見に行ってくれ。」


リックにそう言われ、ハーシェルは行ってしまった。

そして医務室が片付いたのは日が沈みかけた頃だった。

あれからリックとハーシェルは豚を連れてきて、野菜を植え替えた。


「今日は疲れた...。」


見張りをする人達が増えた分、私達はぐっすり眠れるようになった。

今日の見張りは町から連れてきたタイリースとグレンだった。


「...なぁメイ、もういいって言ったよな⁇」


そう言いながら私の独房に来たのはダリルだった。


「...言ったよ?」


私は少し照れながらもそう答える。

ダリルは私の言葉を確認すると、いつもより激しく、だけどどこか遠慮気味に私を扱ってくれた。


「...ねぇ、ごめんね⁇」


「あ?」


行為の途中、いきなり謝った私にダリルは一言だけ「あ?」と返した。


「...ずっと、ダリルだけが良かった。」


私がそう言うとダリルは優しいキスを落としてくれた。
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