暗闇の先に

□7,それぞれの弱み
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暫くして、総督達が来たのだろう。

大きな物音がする...きっと、襲撃を受けているんだ。


それから数人の足音が聞こえてきた。

...もうすぐ。


刑務所内にあの日と同じ警報音が鳴り響く。

そして私達はタイミングを見計らい、催涙弾を投げてライフルを構えた。


御一行は後ろから来ているウォーカーと警報音に混乱し、銃を乱射している。


「メイ、射撃は他の奴らに任せて逃げねぇとウォーカーが来るぞ。」


ダリルはそう言って私の手を引っ張り、ウォーカーから隠れた。

...よかった、いつものダリルだ。


「メイ、グレン達の援護に行くぞ。」

私がダリルの事を考えていると、そう言われた。

きっとこんなところで足止めを食らってるのは私達だけだろう。

そして私達はウォーカーに気づかれないように外へと出て、走っていく総督達に向かって射撃した。


「やった‼奴らは出て行った‼‼」


そう言って嬉しそうな顔をするマギー。

広場に集まった私達は防護服を脱ぎ終え、お互いに笑顔を見せた。


「追いかけなくちゃ‼」


「...あぁ、全部終わらすべきだ。」


ミショーンの言葉にダリルもそう言った。


私は「もういいんじゃないか」と言いたかったがハーシェルの言葉を思い出して、言うのを止めた。


「それよりも一度みんなの安全や、出てきたウォーカーの始末をした方がいいんじゃない⁇
森に4人を迎えに行ってくるわ。」


私の言葉にリックが頷いたのを確認して私は歩き出した。


「私も行くわ。
父さんとベスが心配だもの。」


そして、私とマギーは4人の居る場所へと向かった。



「...声が聞こえない⁇」


近づくにつれて、少しずつ聞こえてくる声。

私達は念の為に銃を構えて歩いた。


そして思った通り、そこには男の後ろ姿があった。

ハーシェルとベスとベスに抱かれたジュディスが視界に入り、男によって作られた死角に銃を構えたカールが居る。

私達の足音に気がついたのか、男がこちらに振り返った。


「おいおい、銃をおろしてくれ。」


そう言いながら振り返った男は、私のよく知った父親だった。


「...何してるの⁇こんなところで。
まず、お父さんから武器を外して‼」


私とマギーとカールに銃を向けられた父は、簡単に腰に下げていた武器をおろした。


「メイのお父さん?」


カールはそう言って銃をおろした。

そして4人を後ろに下がらせ、私とマギーで武器を取り、他に持っていないか体を調べた。


「...で、何してるの⁇」


私も一応武器をおろし、父に聞いた。


「車に乗り遅れたんだ。
総督は人数を確認しないまま走って行っちまった。」


「なら、歩いて戻ればいいじゃない。」


あんな事をされた父を助けようなんて気は起きない。


「頼むよメイ、助けてくれ。」


「なぁメイ、ここで野放しにするのも良くない。
...とりあえずリック達の所へ戻ろう。」


そう言うハーシェルに、私はすんなりと頷く事が出来なかった。


こんなやつ連れて帰ったって...。

かと言え、私の手で殺す事は出来ない。


「少し、考えさせて。」


私はみんなにそう言った。
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