暗闇の先に

□6,再会
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「じゃあ行ってくる。」


...あれからしばらく経って、動ける人たちは地下を探索しに行くことになった。


「メイ、ちょっといいか⁇」


ハーシェルはそう言ってベスから少し離れたところに連れて行った。


「リックは何か幻聴のようなものが聞こえてるみたいだ。
事を整理出来ずに、混乱状態に陥っている。
...しばらくは私達で2人の面倒を見なければ。」


「今はそっとしておくしか出来ないってこと⁇」


私の問いにハーシェルは頷いた。


「...わかった。」


そして私は物資のところへ行き、ウサギ料理に合いそうな食材を探す。


森を歩いている間に大量に見つけていたお豆。
お豆を入れて煮込んでスープを作れば今夜はご馳走だ。

ここ最近、缶詰ばかりを食べていた私達。
お肉はすごく久しぶりだ。

そして私はお豆を剥き続けた。


しばらくしてお豆を剥き終えるとグレン組が戻ってきた。


「なにかあった⁇」


私は鍵を開けながら聞いた。


「...何もないよ。ダリル達は⁇」


「まだ。」


きっとダリルのことだ。
まだまだ帰って来ないだろう。


「...ミルクの残りは⁇」


赤ちゃんをあやすベスとハーシェル、カールを見たマギーが聞いてきた。


「あと1,2回?
ダリルが間違えたからね...。」


「...探しに行ってくるよ。」


グレンはそう言うと、疲れた表情は一切見せずにそのまま出かけていく。


「グレン、私も行くわ。」


グレンを追いかけていったのはまたまた帰ってきたばかりのマギーだった。

怪我をしてしまった私は大人しくしているしかないみたい。


私は近くの階段に腰掛けて鼻歌を歌った。

久しぶりのゆっくりした時間。
誰にも邪魔されず、神経を張り詰めることなく、心からゆっくりできる時間。


「ねぇメイ、それって子守歌⁇」


すっかりお兄ちゃん気取りのカールは聞いてきた。


「ん〜...私にとってはね。」


そう。
私にとっては、すごく落ち着く歌。
続きを歌ってると、ドアが開いた。

...そして入ってきたのはリックだ。


「カール、ごめんな。」


そう言いながら近づくリックにカールはリックの腕の中に飛び込んだ。

そして...ローリが死んだあと、一切涙を見せていなかったカールはリックの腕の中で初めて涙を見せた。


リックはカールの後で赤ちゃんを抱くと、すごく愛おしそうに赤ちゃんを抱いていた。
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