暗闇の先に
□4,混乱
1ページ/8ページ
ハーシェルから、昨日ダリルが乗って行った馬が帰って来たと聞き、馬が無事だったことに私は心底ホッとした。
「ダリル、傷口を診ても良い⁇」
横になっていたダリルにそう言い、無言で身体を起こす。
包帯を外してみると昨日程出血はしていなかった。
そして消毒をして薬を塗って新しい包帯を巻き直す。
「今日は何してた⁇」
私が包帯を巻き終えるとダリルは言った。
「銃の使い方を教えて貰って、さっき薬局に行ってきた。」
「薬局なんか他のやつに行かせろよ。
ウォーカー居たらどうすんだよ。」
「...倒したよ?」
ダリルは怒ってしまったのかそれ以上会話を続ける事なく、布団をかぶってしまった。
「ねぇダリル。
理由があるの‼」
そっぽを向いてしまったダリルを少し叩いて言う。
「...私ね?医療技術を学ぼうと思って。
本を取りに行ったの。」
「ねぇダリル、聞いてる⁇」
私が話しかけてもダリルは無視する。
...そんなダリルに私は仕方なく、ダリルの正面に回り込んでキスをする。
「何だよ‼」
私にキスされてやっと口を開いてくれたダリル。
「...ごめんね?
わかってるよ⁇昨日も言われたし。
だけどあなたには薬と新しい包帯が必要だったの。」
「放っとけば治るんだよ、こんなもん。」
「ダメよ。
清潔な包帯に変えないと、Tドックみたいに敗血症を起こしかけるわ。」
私がそう言うとダリルは少し黙る。
「...ごめんね?」
私はそう言いながらもう一度キスをし、ダリルの機嫌を宥めた。
「誘ってんのかよ。」
そしてダリルは私の腰へと手を回す。
「...ダメ。
ハーシェルの家なんだから。」
「メイが声を我慢してりゃバレねぇよ。
俺はお前とシたくて我慢できねぇ。」
ダリルはそう言いながら私のホックを外しはじめる。
「ちょっと...」
どうやらダリルは私の反応を見て楽しんでるみたいだ。
そしてその時ドアが開いた。
そこに居たのはハーシェルではなくリックで…少しホッとする。
お互いを見合い、状況を把握してた時間はたった2,3秒ほどだったけどすごく長く感じた。
「あぁ...ダリル、メイ、本当に悪かった。」
ダリルは私の横で小さく舌打ちをする。
「だから言ったじゃない。
気にしないで?...それで何か用⁇」
私はそう言いながらベッドを抜け出してイスに腰掛ける。
「あ...えっと、今朝の件でダリルに...「なら私は外に行こうかしら。
...ダリル、安静にね。」
きっとカールの事だ。
私はキャンピングカーに戻り、さっき持って来た医学書を読む。