暗闇の先に

□4,混乱
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ハーシェルから、昨日ダリルが乗って行った馬が帰って来たと聞き、馬が無事だったことに私は心底ホッとした。


「ダリル、傷口を診ても良い⁇」


横になっていたダリルにそう言い、無言で身体を起こす。

包帯を外してみると昨日程出血はしていなかった。

そして消毒をして薬を塗って新しい包帯を巻き直す。


「今日は何してた⁇」


私が包帯を巻き終えるとダリルは言った。


「銃の使い方を教えて貰って、さっき薬局に行ってきた。」


「薬局なんか他のやつに行かせろよ。
ウォーカー居たらどうすんだよ。」


「...倒したよ?」


ダリルは怒ってしまったのかそれ以上会話を続ける事なく、布団をかぶってしまった。


「ねぇダリル。
理由があるの‼」


そっぽを向いてしまったダリルを少し叩いて言う。


「...私ね?医療技術を学ぼうと思って。
本を取りに行ったの。」


「ねぇダリル、聞いてる⁇」


私が話しかけてもダリルは無視する。

...そんなダリルに私は仕方なく、ダリルの正面に回り込んでキスをする。


「何だよ‼」


私にキスされてやっと口を開いてくれたダリル。


「...ごめんね?
わかってるよ⁇昨日も言われたし。
だけどあなたには薬と新しい包帯が必要だったの。」


「放っとけば治るんだよ、こんなもん。」


「ダメよ。
清潔な包帯に変えないと、Tドックみたいに敗血症を起こしかけるわ。」


私がそう言うとダリルは少し黙る。


「...ごめんね?」


私はそう言いながらもう一度キスをし、ダリルの機嫌を宥めた。


「誘ってんのかよ。」


そしてダリルは私の腰へと手を回す。


「...ダメ。
ハーシェルの家なんだから。」


「メイが声を我慢してりゃバレねぇよ。
俺はお前とシたくて我慢できねぇ。」


ダリルはそう言いながら私のホックを外しはじめる。


「ちょっと...」


どうやらダリルは私の反応を見て楽しんでるみたいだ。

そしてその時ドアが開いた。

そこに居たのはハーシェルではなくリックで…少しホッとする。


お互いを見合い、状況を把握してた時間はたった2,3秒ほどだったけどすごく長く感じた。


「あぁ...ダリル、メイ、本当に悪かった。」


ダリルは私の横で小さく舌打ちをする。


「だから言ったじゃない。
気にしないで?...それで何か用⁇」


私はそう言いながらベッドを抜け出してイスに腰掛ける。


「あ...えっと、今朝の件でダリルに...「なら私は外に行こうかしら。
...ダリル、安静にね。」


きっとカールの事だ。

私はキャンピングカーに戻り、さっき持って来た医学書を読む。
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