暗闇の先に
□3,生きる意味
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銃の練習にはカールも来ていた。
私達は銃の持ち方や使い方を教えてもらい、実際にビンを狙うことになった。
使い方を覚えてしまえば銃はクロスボウよりも軽くて簡単だ。
...だけど音がうるさい。
「メイ、上手いじゃないか。」
私達を指導していたリックが言った。
「まぁ、的を狙うのは得意だからね。」
そう...弓道をやっていた私にしてみれば少し感覚を覚えれば簡単な事。
「君は合格だ。
ハーシェルの農場内では許せないけど何かあったら銃を使ってくれ。
...まぁ、メイにはクロスボウも和弓もあるけどな。」
いくつもの武器を使える私にリックは笑いながらそう付けたした。
「...ねぇリック、カールに銃を持たせていいの⁇」
私は気になっていたことを聞いてみた。
「まぁ、訓練だけ...な。
カールは相当銃を持ちたいみたいだ。
...今朝、ダリルの銃を盗んでたのを知った。」
「...嘘でしょ⁇」
私はリックの言葉に目線を的からずらす。
「ほんとだ。...難しい年齢だよ。」
リックはそう言うとジミーの指導をしに行った。
農場へ戻ってからハーシェルにも必要な物があるか聞き、グレンに声をかける。
「もう行ける⁇」
「あぁ、平気だよ。
そうだ‼マギーも付いて行くって。」
「そう。」
「私、奥の方見てくるからリストの物探して⁇」
薬局へ着くと私はグレンに言った。
ハーシェルから預かったメモをグレンに預けると、私は薬局の奥の方へと行く。
ハーシェルが「薬局へ行くなら、一般向けの医学書を持ってくると良い。」と言っていた。
病気の症状やそれに適応できる薬を勉強しておきたい。
私は事務室のような部屋に進んだ。
...が、事務室の中にはウォーカーが居るみたいだ。
死臭と共にウォーカーのうめき声が聞こえる。
私は足でドアを蹴り、クロスボウを構えた。
ドアが開き、私に気付いたウォーカーはゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。
そして奴の脳天を狙って私は矢を放つ。
中に入ると何冊か医学書が本棚にあった。
私はその中でも1番一般向けな本を選び、売り場の方へと戻る。
「グレン、これカバンに入れてくれない⁇」
「本⁇」
「えぇ。医学のね。
今後のことを踏まえて少し勉強しておこうかと思って。」
グレンはそう言うと自身のリュックサックにカバンを入れてくれた。
「リストの物は揃った⁇
奥にウォーカーが居た。
今日がここに来れる最後のチャンスかもね。」
「きゃぁぁあっ‼」
私の忠告とほぼ同時にマギーの悲鳴が聞こえる。
急いでマギーの居た方向を見ると一体のウォーカーがマギーを狙っていた。
私が矢を構えて打つよりも早く、グレンがウォーカーを倒す。
「冗談じゃないわ‼
なんで中絶薬なんかの為に襲われなきゃならないのよ‼‼」
マギーは怒りの混じった声で言った。
「中絶薬⁇」
「あぁ...ローリの。
聞かなかったことにしてくれ。
...頼むよ、メイ。」
私はわかった。と返事をして残りの薬を探す。
「マギー、帰るまで私のナイフを貸すわ。」
私はマギーにナイフを渡す。
武器はないよりあった方が良い。
「あなたは⁇」
「これで十分。
もしやばくなったらあなたが助けに来て⁇」
マギーの言葉に少し笑いを交えてそう言う。
それから農場に帰るまでずっとローリのことを考えていた。
こんな世の中で妊娠?
あの時、カールはここで死んだ方が良いとか言ってたくせに妊娠⁇
きっとリックの子かどうかもわからないんだろう。
...だからローリは自分の事で頭がいっぱいで、カールが銃を盗んでも気づかなかったんだ。
まぁ、私がどうこう言ったってなるようにしかならない。
それにローリが隠したいなら隠させてあげた方が良いだろう。
...ただ、カールが心配だ。
ここの人達は本当に自分のことばかり。
ローリは自分の撒いた種で苦しんで、大切にするべき物を見失ってる。
アンドレアは自分の考えを曲げないし、キャロルはソフィアの事を見てなかったくせにリックのせいにしている。
シェーンは何かを企んでるみたいだし...。
こんなんじゃやっていけるわけがない。
今の私たちはめちゃくちゃだ。
それからしばらくして農場に着くと、ローリーがグレンの所に駆け寄って来る。
...と同時にマギーはローリにキレてしまい、薬をローリに押し付けるとマギーは家の中に入って行った。
「ばれちゃった⁇」
ローリはマギーと私を交互に見ながら言った。
「大丈夫。
ローリーが秘密にしたいなら誰にも言わない。」
私はローリーにそう伝え、グレンのリュックから頼まれていた物を持ってハーシェルの家に向かった。
私はハーシェルに持って来た物を渡し、包帯と薬を持ってダリルの居る部屋へと行く。