暗闇の先に

□3,生きる意味
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しばらくすると車は速度を落として止まった。


「どうした?」


「...車から煙が。
しばらくここで物資漁りだと。」


Tドックがそう言った。


「そう。」


それから荷物を片付け終えた私は外へ出る。


「メイ?平気か⁇」


キャンピングカーを降りるとデールが目線を足に向けながら言った。


「大丈夫よ。
ダリルにお礼を言わないと。」


私は辺りを見回してダリルを見つけ、ダリルの所へ向かう。


デールは見張り、ダリルの近くにはTドックも居る。

他のみんなもそれぞれ物資調達をしていた。


「メイ⁇」


ダリルは足をかばいながらも歩いている私に気が付くと、こっちに向かって歩み寄って来てくれる。


「薬ありがとう。
おかげで痛みはマシだよ。
出血も今は止まってる。」


「...あぁ、CDCでくすねた。
腕にも塗っとけ⁇」


ダリルはそう言った。


「服も...ごめんね⁇」


折角の服なのに袖を切らせてしまった...。


「大体いつも袖は無くなる。」


ダリルは少し笑いながら言う。

そんなダリルに私も同じように笑い返す。


「じゃあ私、もうキャンピングカーに「待て‼」


ダリルはそれまでの和んでた雰囲気をガラリと変え、口に一本指を立てた。


「くっそ...」


ダリルの目線の方を見ると、ウォーカーの群れがこちらに向かって来ている。


「車の下にいろ。...これも。」


ダリルは何も持ってきていない私にナイフを貸してくれた。


「ダリルは⁇」


「俺は平気だ。...早くしろ!」


ダリルは下へ隠れるようにジェスチャーをした。

...っていうか私のナイフ、ローリはいつになったら返してくれるんだろう...。


それから私が車の下に隠れたのを見届けるとダリルはTドックを助けに行った。


重々しい空気と共にウォーカー達が行進している。

...ダリルは隠れれたのかな。

他のみんなも...。


ウォーカーがほとんど去って行った頃、アンドレアの声が聞こえた。

声というよりも悲鳴に近い声。


確かアンドレアはキャンピングカーに居たはず。
...だとしたらきっとデールも危ない。


「イヤ、イヤ、イヤ...イヤっ‼
来ないで‼来ないで‼」


近くからソフィアの声が聞こえ、森の方へ走って行く姿が見えた。

誰かが追いかけて行ってる...私も行かなきゃ。

私は周囲にウォーカーがいないことを確認してから車の下を抜け出す。

森の方へ向かうと誰かに手を掴まれた。


「やめておけ...怪我してんだぞ。」


私の手を掴んだ相手はダリル。

後ろにはTドックもいた。


「でもソフィアが‼」


「あぁ。...わかってる。」


「リックが行った。
きっと大丈夫だ。」


そして私の手から自身のナイフを取り上げた。


「メイ、手当してやれ。
...俺にはもう袖がない。」


ダリルは少し笑いながらそう言うと、Tドックの腕を見せた。

Tドックの腕はかなり出血している。

もしかして...。


「噛まれたの⁇」


「いや、自分で車に引っ掛けた。
...噛まれてたらとっくにダリルに脳をぶち抜いて貰ってる。」


私は頷き、Tドックとキャンピングカーの中に行く。


...だけどキャンピングカーの中はウォーカーの返り血が飛び散っていた。

あぁ、アンドレアはここで...。


「...とりあえず座ろっか。」


そしてTドックの手当をして外へ出る。

...外では森に向ってキャロルが泣き崩れている。

まだ長い間立ってるのは足に負担が大きく、私はキャンピングカーのステップ部分に座る。


しばらくするとリックが森から帰ってきた。

リックは少し疲れたような顔をして帰って来たがすぐにその表情はわる。

ソフィアは…⁇


リックはソフィアを連れていない。

もしかしてソフィアはやられちゃったの⁇



リックを迎えると何やらみんなで話し合いをしている。

...私だけ蚊帳の外か。

この足だし仕方が無い。
無理をするのにも疲れた。

私はキャンピングカーのへ行きソファに寝転がる。


しばらくするとデールが説明に来てくれた。

どうやら車の下から出てきたソフィアにウォーカーが2体気がついたらしい。

逃げたソフィアを追いかけたリックはソフィアを隠し、待つように言うと、リックは自分が囮になってウォーカーを一体ずつ倒した。

そしてソフィアを隠した場所に戻ったがソフィアは既に居なかった。

そしてTドックとデール以外の男達はソフィアを見に行ったらしい。

説明を終えると再びデールは見張りに行った。


なんでキャロルは自分の子供をちゃんと見ていなかったんだろう。

CDCの時だって...。


あぁ...もうやめよう。
私の子供じゃないんだ。
私が口出すことじゃない。


私はそう自分に言い聞かせてから、目を瞑った。
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