暗闇の先に
□1,約束
1ページ/8ページ
あと2日。
あと2日経ったら、こんな世界から抜け出してやるんだ。
1ヶ月前...
「メイ、新婚旅行に行ってきてもいいかな?」
母は私に言った。
もちろん止める理由もなく、快諾した。
「楽しんで」って。
そして仲良くなる良い機会だと義父寄りの祖父母の家に連れて来られる。
数日間は特に問題なく過ごした。
だけどある日曜日。
祖父母は礼拝しに教会へ行ってくると出かけたきり帰ってこない。
数時間後に理由はわかった。
日が沈みかけた頃、あちらこちらからうめき声が聞こえてくる。
恐る恐る窓から外を覗くと、この世の物とは思えない物が歩き回っている。
そしてそのまま数日過ごす間に奴らの事が少しずつわかるようになった。
奴らは音や光に敏感。
人間を食べ、転化させ、仲間を増やす。
幸運な事に私を歓迎する為に冷蔵庫の中身は食べ物がいっぱい入っていて。
武器になりそうな物や暇を潰すための本や私の荷物の入ったキャリーバッグをキッチンに運び出して静かに過ごす。
母は無事なのだろうか。
奴らのようにはなりたくない。
私の他にも生きてる人はいるのだろうか。
1人で色々と考えた結果、2日後の約束の日を迎えたら自分で死のうと心に決め、私が不安になるといつも母が歌ってくれたメロディをくちずさみ、気持ちを落ち着かせる。