like a rainbow
□未来へ
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朝の6時を回り、明るくなりだした頃。
窓から外を見てみると、騒ぎを聞きつけたパパラッチが集まりはじめていた。
さらに数時間後には、シンちゃんとレイラが届いたばかりのお花でレンの棺を飾っていた。
そんな中、ヤスの腕にガッシリと支えられたナナがレンのいる部屋へとやって来た。
あぁ、着いたんだ。
そう思ったのもつかの間、一緒に花を供えていたレイラがナナのところへ駆け寄り、話しかける。
だけどそんなレイラを止めたのはシンちゃんだった。
シンちゃんがレイラに怒鳴るなんて...。
ヤスは私の顔を見た時、何か言いたげな顔をしたが結局何も言わずにナナの隣に座った。
銀ちゃんというブラストのマネージャーに美里ちゃん、ハチとノブが泣く中、ナナとナナを支えるヤスだけは涙を流さずにただ座っている。
ヤスはブラストのリーダーなんだから...
ナナは...旦那さんを亡くしたんだから......。
私は何度も自分にそう言い聞かせ、胸の中に溜まって行くモヤモヤを必死に消した。
ねぇヤス、あなたは今何を思っているの?
何を考えているの??
昼過ぎには朝から東京に戻っていたミアが帰って来て、シナモンズのみんなはミアの用意した喪服へと着替えた。
お通夜が始まる少し前、私が会場の部屋に行くと、既にシンちゃんとナオキ、ネイトが参列席に座っていた。
豪華に飾られた祭壇の真ん中には微笑みながらもタバコを咥えたレンらしい遺影が飾られている。
その写真は本城蓮というよりもミュージシャン、トラップネストのレンの顔だった。
きっとタクミが選んだのだろう。
ナナならきっと、もっと荒々しい写真を選ぶはずだ。
そして会場の扉を閉める直前のこと。
廊下の方が少し騒がしくなり、スコットやミアの声で英語が聞こえてきた。
だんだんと近づいて来たその声の中には父の声が混ざって聞こえる。
音楽をやってるんだ、人一倍耳のいい私が聞き間違えるはずがない。
『ごめん。』
私は隣にいるハンターにそう行ってから部屋を飛び出し、声の聞こえる方へと向かう。
エレベーターホールにまで行き着くと、そこには思った通り父の姿があった。
『何しに来たの?』
父のそばに居たスコットやミア、ハンター、成田、竹ちゃんやタクミが驚いた表情を見せる。
『何って...うちのアーティストでもあるんだ、線香ぐらい上げに来るのが当然だろう。』
父は涼しそうな顔をして言った。
『ソフィー、ウィルソンさんはわざわざ予定を変えてまで来てくれたんだ、そんな言い方するな。』
スコットは私をなだめようとそう言う。
『レンは父さんにはだけは何があっても来てほしくなかったはずよ‼『ソフィー‼『今すぐ帰ってよ‼『ソフィー‼‼』
私が話し始めると、スコットは私を黙らせようと言葉を挟んでくる。
『今さらレンに線香なんて......』
『ウィルソンさん、よければ場所を移して...少しソフィーとお話しされてはどうですか⁇』
間に入ったのは唯一事情を知るタクミだった。
タクミは営業スマイルを浮かべ、私のを肩に手を乗せる。
その手にはかなりの力がこもっていた。
「でもタクミ...あと10分で式が「いいから。」
時計を確認しながら言う竹ちゃんに、タクミは言った。
それから私と父は控え室に移動させられ、スコットは私と父にお茶を淹れ、私達から少し離れた場所に座った。
『スコット...2人にしてくれない?
もうすぐ式も始まるし、戻った方がいい。』
私がそう言うと父も小さく頷き、スコットは部屋を出て行った。
『タクミからレンが薬にハマってたと聞いたよ。
...その事ならレンの自業自得だろう。
もう少し耐えてくれれば『違う。
その事じゃない、そんな単純なことじゃないの。』
私は父の言葉を遮り、そう言った。
何も知らないくせに自業自得だなんて...言わないでよ。
本当の事を知りもしない癖に、そんな簡単な言葉で...片付けようとしないでよ......。