like a rainbow
□復帰
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ーーーーヤスsideーーーー
ソフィーと仲直り...いや復縁をしてから数日。
俺の腕に付けられた可愛いらしいキスマークは徐々に色が薄くなり、しまいには消えてしまった。
忙しそうなソフィーからは電話は無く、《鬼のようなスケジュールで死にそうだ》というメールが数件来ただけ。
その鬼のようなスケジュールの邪魔をするわけにもいかず、俺は《こっちもナナのとばっちりで鬼のような禁煙生活だ》と返信を入れた。
そのメールを見たかはわからないか、返信がないということは本当に鬼のようなスケジュールなんだろう。
ブラストは毎日のように集まり、練習をし二度目のライブをした。
そして明日はシンとノブと俺でトラネス全国ツアー最終日の東京公演に行く。
招待した本人は前日の夜、東京に着くと彼女のとこにも行かず、何故か俺の所に来た。
...が、実を言うと俺はレン以外からも招待されている。
どうやら明日はソフィーも出演するらしく、2日ほど前にオーストリアからチケットと楽屋のパスが届いた。
ソフィー曰く、鬼のようなスケジュールのシナモンズは明日の朝に東京に着くらしい。
せっかくのソフィーの誕生日を祝いたかったが、そんな時間はなさそうだ。
着いてからはリハーサルなんかもある為、俺に会いに来る時間はなさそうだ。
ソフィーの為に買ったプレゼントはいつ渡せるだろうか…。
「なぁレン、自分の親について知りたいと思わないか?」
特にすることも無く、俺の部屋でぼーっとタバコを吸っているレンに尋ねた。
「俺に親なんか居ねぇよ。」
レンのお決まりのセリフ。
「言ってなかったんだが、俺はお前の親の手がかりを知る人物に心当たりがある。
お前がが知りたくないなら、別にいいけどよ。」
そう言って、俺は開いていたパソコンを閉じて自分のタバコに火をつけた。
「ミヅエか?」
「違う。......お前の姉だ。」
俺の言葉を聞いてタバコの煙にむせたレン。
「俺に姉貴?本気かよ。
俺はハッチと同じ、みなしごレンだ。
親も兄弟も居ない孤独な人間だ。」
ハッチというのはレンが昔から大好きなアニメのことだろう。
施設でも環境上良くないから、と禁止する職員さんに隠れてよく見ていた。
「でもまぁ...気にはなるな......。」
会いたいとか、詳しく教えろ、と言わないってことはレンの中でも迷いがあるんだろう。
「まぁ、考えとけ。
お前の姉貴はお前の存在を知って複雑な心境みたいだからな。」
俺はそう言ってサングラスを外し、テーブルに置いた。
「なぁ、今更親が出てくるのは正直ありえねぇと思った。
......でも、姉貴なら悪くねぇかもしれねぇな。」
少し間を空けて言ったレン。
珍しく真面目なその一言に、今度は俺がタバコの煙にむせそうになった。
「ゲホ!...ッホ.......本気かお前。」
「なんだよ、会わせてぇんじゃないのかよ。」
そう言ったレン。
正直俺自身もわからない。
「......でもまぁ、今はまだ何も知らずに居たい。
俺がいつかナナと結婚する時ぐらい、その姉貴に報告するのも悪くは無いかもな。」