like a rainbow
□真実と嘘
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表紙には【No,4 1987〜】と書かれている。
......パラパラとページをめくってみると、やはり母の日記らしく、ヤスの言ってた通りの事が書かれていた。
そのノートには鍵がはめられていて、それをまとめるキーホルダーには他にも鍵が付いている。
そしてその鍵を見て、私はとあることを思い出した。
日本からオーストラリアに引っ越してすぐ、日本で使っていた荷物が届いた時、見覚えのない本も入っていた。
鍵が付いていて中は読めないようになっていて、その時はクローゼットにしまいこんだがきっとそれはこの鍵で開くのだろう。
今手元にある日記帳と同じようなノートはだったはずだ。
……こんなところに鍵があったなんて。
帰りのタクシーと新幹線で私は母の日記を読み続けた。
日本来てから数年、私と母はほとんどがすれ違いの生活を送っていたため、ゆっくり会話をする時間がほとんどなく、日記にはその日私が話したことやその様子なんかも書かれていた。
きっと夜中に家に帰ってから日記を書いていたんだろう。
私が寝ぼけて寝言を言ってるなんてのも書かれている。
なんだか母に会えたような気分になり、心が少しだけ温まった。
家に帰ってから私はヤスに電話をかけた。
「もしもし?帰ってきたよ。
それと私、急用思い出したから明日から一度オーストラリアに行くよ。」
「そっか。
こっちは今、ナナとノブと新メンバーのシンってやつと練習中なんだ。
あ、ナナの同居人の奈々ちゃんって子も一緒だよ。
1人で平気か?」
後ろで話している声や音が聞こえてくるのはそのせいなんだろう。
ギターにベースに......タンバリン?
「楽しそうだね、音が聞こえてるよ。
…でもナナの同居人の奈々ちゃん⁈
なにそれ、おっかしい。
私は平気だよ。
向こうにはハンターやネイトも「おいハゲ〜ッ‼
......わりぃ、女王さまが怒ってるわ。
また電話する。気をつけて行ってこいよ。」
遠くでヤスに怒ったナナの声が聞こえた。
「それじゃ。」
私はそう言って、携帯の通話ボタンを押して通話を切る。
それから少しの荷物をトランクに入れて、明日の準備をした。
朝一で行けば航空券ぐらい買えるはず。
今日は早く寝よう。
朝一で空港に行くと思っていたよりも運が良く、9時過ぎの便を取る事ができた。
私は食べていなかった朝食代わりにラウンジでサンドイッチとココアを頼む。
それから搭乗時間まで、昨日見つけた日記を読んだ。
思ったよりも時間が進むのは早く、すぐに搭乗時間が来ると私は飛行機に乗り込んだ。
席に着いてすぐ日記の続きを読みふけった。
あの頃、母が何を思っていたのか。
母がどう感じていたのかがよくわかる。
母はどうやらあの場所で、誰かを探していたみたいだ。
日記の最後の方に行くと、なんで見つからないんだろうなどと言った言葉が目立っている。
それは一体誰なのだろう。
それにその人が原因で父と母は離婚したらしい。
母の浮気相手とか、そういう人なのか...。
そうしてるうちに目で文字を追うことに疲れてしまった私はうたた寝をした。
オーストラリアに着くと私は荷物を受け取ってタクシー乗り場へと向かった。
途中、私の存在に気がついたファンが近寄ってきたが"急いでいるから。"とその場を切り抜けてタクシーに乗り込んでマンションに直行する。
きっとスコットがいたなら怒られているだろう。
荷物を置いてから一度スーパーに寄り、お弁当とお水を買って部屋に戻った。
きっと今日は母の日記を読みまくるだろうし、どこかにご飯を食べに行ってる暇なんてないだろう。
なにも入っていない冷蔵庫に袋のままお弁当を入れてから荷物を入れた段ボールを置いているクローゼットへと行った。
何個もの箱を引っ張り出しては箱の中を確認する。
そして少ししてから、お目当ての日記帳を見つけた。
No,1からNo,3まである。
そしてレンの部屋にあったNo,4。
鍵は4つしかないし、きっとこれが全てなのだろう。